ざわざわからの、不機嫌。 ページ22
洲崎side
おは朝が終わって、金曜日はラニ鼻やから、KBSに行くのは夕方に出れば、間に合う。
『おかえりなさい。』
マンションのエントランスに、Aがおった。
「ただいま。下まで迎えに来てくれたん？」
『ん。だって.....』
俺を見る上目遣いが、やっぱりめちゃくちゃ可愛い。
肩を抱いて、エレベーターに乗る。
「おは朝、見てくれたんやな。今すぐやないけど、俺、本気やから。」
『ほんまに、あたしなんかでええの？』
「Aやないと、あかんねん。」
「はぁー、今すぐキスしたいー！やけど、防犯カメラに見られてるからなぁ！」
『もう！そんなんおっきい声で、言わんといてよ！』
昨日とおんなじようなイヤな手紙を、俺を気遣ってポケットに入れてたのは、わからんかった。
Aside
ラジオの仕事で、京都に向かう洲崎さんを見送って、今朝見つけた手紙を広げる。
その横に昨日、ゴミ箱から拾ってシワを伸ばした、くしゃくしゃの一通目の手紙を並べた。
洲崎さんに、余計な気を遣わせたくないし、今の所、実害はないから、見せずに取っとこう。
何かあった時には、証拠になるかもやし。
ジップロックにまとめて、小物の引き出しに片付けた。
６時から、radikoでラニ鼻を聞きたいから、今のうちに晩ごはんの準備しとこうかな？
献立を考えながら、足りないものがないか、確認する。
カレーの残りをグラタンにしようか、コロッケにしようか。
どちらにしても、パン粉がほしいかな？
とろけるチーズも、ないよね。
スマホにメモして、スーパーに向かった。
また、あの女が買い物してる。
早くあのマンションから、出て行けばええのに。
"ラニーノーズ洲崎、交際中の彼女と、ゴールイン間近！"
なんて不吉なネット記事を、見てしまったから。
早く帰って、あの女をもっともっと怖がらせて、逃げ出すような文章や、気持ちの悪い見た目の手紙を作らなきゃ。
レジで並んでたら、カゴを持ったあの女が後ろに来た。
『あ、こんにちは。』
気付かないふりしよと思てたのに、声かけてきたから、
「こんにちは。」
とりあえず会釈した。
『いつもえらいねぇ。お母さんに買い物頼まれてるん？』
「違います！食事も、お弁当も全部、自分で作ってるんです！」
思いっきり、睨み付けてやった。
『ごめんなさい。いらん事聞いて。』
めっちゃ、しゅんとしてるけど。
知らん顔して、そのまま支払いを済ませて、スーパーを出た。
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作者名：すーゆみ | 作成日時：2020年8月29日 20時
