ずーっと、一緒におったらええねん。 ページ16
洲崎side
家についてすぐ、健人にラインする。
"Aの荷物、着払いでええから全部、俺の家に送って。
"え？どーゆー事？"
"バカ親父が家にも病院にも、来んな！やって"
"Aと一緒に、住むんか？"
"別にええやろ。俺の彼女やから、お前の家に住むんは、おかしいやろ。"
"Aは、それでええって言うてるん？"
"当たり前やん！なるべく早くやで！"
「健人にAの荷物、全部ウチに送るように、頼んだから。」
黙って頷くAを、抱きしめる。
「大丈夫や、ずっとここにおってくれたらええから。」
「そばにいて欲しいねん。」
「俺の事がイヤになったら、いつでも出て行ってええから。」
『イヤになんか、ならへんよ。』
まだ少し赤い目で、俺を見上げる。
「ほんなら、ずっと、ずーっと一緒におったら、ええやん。」
背伸びしたAの唇が、俺の唇に重なる。
「もうなにぃ、可愛いことして！」
『だって、キスしたくなっちゃったんやもん。』
両手でAの頬を挟んで口づけ、舌を絡めて掻き回す。
「また、襲ってもうてもええ？」
返事を待たずに、抱き上げて寝室に向かう。
『明日、お仕事は？』
「夕方頃に、劇場に着いたらええから。」
俺を見上げるAにキスして、髪を撫でる。
シャツのボタンを、上から一つずつ外してゆく。
山田side
京都に行っただけやなかったんか。
部屋の隅に置かれた、スーツケースとボストンバッグ。
なるべく早く.....か。
スマホをポケットに入れて荷物を持ち、階段を下りてゆく。
玄関を出て、コンビニに向かう。
向こうから、自転車が近づいて来る。
「健人、それってAの荷物ちゃうん？」
単独帰りの九条やった。
「洲崎の家に送んねん。」
「はぁー？！どーゆー事？！」
もうけっこう遅いのに、そんな声出すなや！
お前の甲高い声、響くねん。
「"俺の彼女やから、お前の家に住むんは、おかしいやろ。"やって。」
「"俺の彼女"って！A、洲崎のもんになってもうたんか.....」
自転車に跨がったまま、がっくりと肩を落とす。
「ほんなら、今頃.....あぁーっ！」
叫び声を上げて、髪をぐしゃぐしゃとかきむしる。
「あー、うるさい、うるさい！」
発狂してる九条はほっといて、さっさとコンビニに向かう。
「大村は？」
「今日は、まだ帰って来てないねん！」
「手伝おか？」
「ええから、はよ帰れ！一人で大丈夫や！」
はぁー、九条のせいで余計に荷物が重なったわ。
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作者名：すーゆみ | 作成日時：2020年8月29日 20時
