夕食の買い物の目撃者。 ページ12
洲崎side
「もうほんまに、このままずっとウチにおりぃやぁ。」
Aの髪をドライヤーで乾かしながら、言うてみる。
『妃の事も気になるし、山田さんや皆さんにきちんとお礼を言わなきゃ。』
「そっかぁ、わかった。」
『だけど今日は１日、洲崎さんと二人で過ごす約束やったから。』
「そしたら、夕食はなにを食べに行く？」
『ランチは洲崎さんに作ってもらったから、何が食べたい？』
「えっ！作ってくれるん？やけど冷蔵庫の中、たいした物入ってないで。」
『じゃあ、買い物に行こうかな？メニューのリクエストは？』
「えー、何にしようかなぁ！めっちゃ楽しみやわぁ！」
『うーん、何がええかなぁ。売り場の食材を見てから考えようかなぁ。』
「俺も一緒に行くわ。荷物持ちがいるやん！」
Aside
洗濯乾燥機から取り出した、自分の服に着替えて、二人で近くのスーパーに向かう。
カートを押してくれる洲崎さんと、売り場を歩く。
『メインを決めたいから、先にお肉売り場と、お魚売り場を覗いてみるね。』
「うん、わかった。」
お魚売り場の本日の特売は、アトランティックサーモン。
パックを手に取ったあたしに、
「あ！鮭めっちゃ、好きやねん。」
『じゃあ、鮭のムニエルにしようかなぁ？』
「うん、うん！食べたい！」
パックをカゴに入れて、
『小麦粉って.....家には？』
「そんなん、ないよ。」
『じゃあ見て来るから、ちょっと待っててね。』
サラサラクッキングフラワーを持って、戻る途中、女子高生に囲まれてる洲崎さんに気付いて、野菜売り場に向かう。
レジ横のカゴを持ち、メニューを思い浮かべながら、野菜を選んでいく。
「こんな所で洲崎さんに会えるやなんて、思わんかったわ！」
「この近くに住んでるんかなぁ？」
「握手してもらえて、よかったぁ！」
あたしの後ろを女子高生たちが、騒ぎながら、通り過ぎた。
『洲崎さん、先に家に帰ってて！』
急いで戻って、カートの鮭をあたしの持つカゴに移す。
「えっ！なんで？」
『ファンの人に見られたら、大変でしょ！』
「んー、そうかなぁ。」
『そうやん！そんなにたくさん買わへんから、あたし一人でも、大丈夫。』
「ん、わかった。財布だけは、受け取ってよ。」
財布を受け取り、軽く手を振る洲崎さんを見送って、買い物を続ける。
そんな様子を、友達と別れたさっきの女子高生の一人に、見られているのには、全く気付いていなかった。
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作者名：すーゆみ | 作成日時：2020年8月29日 20時
