視ノ一 ページ7
「居るか?」
「いや」
昇降口までたどり着いた先着組はまず首を傾げることとなった。なぜかいたはずであろう後着組が誰一人としてそこにはいなかったからである。人がいた感じもせず、本当に彼らはここに来たのだろうかと思えるぐらいだった。
「…どっかに隠れてるとかそんなんか?」
ウソップが目の前の廊下を右左と見てみるが、人がいる気配は全くしない。
「やりそうなのが一人ぐらいしか思いつかないわ」
ナミがそう言いながらスマホを見るが、そのトークは最後ビビで止まっていて更新はない。とりあえずタッチパネルに指を滑らせて一言コメントを投下しておいた。少しだけ見ていたが、既読がつく様子はなかったので電源を切ってポケットへと入れた。
「外にいるんじゃねェか?」
「可能性もありうるわね」
一番近くにいたビビが扉を開けようと両掌を当てる。結構重い扉なので、ビビは体重をかけてその扉を外側に押した。
「あれ?」
困惑の声を出したビビにゾロがそっちは逆だぞ、と指摘する。観音開きのその扉は、片方が締め切り状態となっていたからだった。
「えっ」
ビビはそこから離れて扉をまじまじと見てから、ほんとだわ…とつぶやいて逆の扉を開けようと両手を当てて力を籠める。が、ウソップの言葉にがくっと脱力した。
「いただきましたビビの天然パワー!!」
「天然じゃありません!もう…」
ははーっとまるで何かを授かったかのように畏れ多い口調でいうウソップにビビが言い返す。
「てめェは黙ってろクソッ鼻!…変わろうか?ビビちゃん」
さっきまで左側の廊下の半ばまでいたはずなのに、いつの間にかビビの隣に移動してきたサンジがそうビビに聞く。
「女が絡むとたまにお前がホラーそのものなんじゃねェかなって思う」
思ったことをウソップが言った。しかしサンジの鬼の形相にあっけなく怯み、なんでもありませんよォオオ!!!とウソップがその場から逃げ去った。端正な顔立ちが歪むとやたら怖いというは、どうやら小説の中の話だけではないとウソップが知ったのはサンジと出会ってからである。
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作者名:水筆の虜 | 作成日時:2016年5月4日 23時