再会と出逢い其ノ一 ページ26
＿１階南階段の下に設置してある倉庫の扉が勢いよく開く。先頭にエース、サボと次々に後着組が姿を現した。そのままノンストップで南階段を駆け上がっていく。近くなっていくにつれて心臓がバクバクと早くなっていく。なんだこれは。グッとエースが胸元を押さえるのに、サボが心配そうに声をかける。
「大丈夫だって…」
二階も通り過ぎてエースがやっと止まったのは３階だった。人気のないその廊下の上の、中央階段近くの場所に人が倒れている。よく映える萌黄色をした髪の色に全員が顔を青くしたのは言うまでもない。
「ゾロ！？」
さっきまで後ろにいたロビンが駆けだす。今度はロビンを先頭にしてエースたちがゾロの元まで駆け寄っていく。
「ゾロ！？何があったの！？」
ロビンがゾロを抱き起す。ぐったりとゾロはされるがままだ。何度も名前を呼べば、うっすらと目が開いて翡翠色がちろりと覗いた。
「たのむ…止めてくれ、１、階…に…１階に…止めてく…れ…行って…」
ロビンの腕をやんわりと掴んでゾロが途切れ途切れに言葉を紡ぐ。普段のゾロからは決して想像できない、懇願する姿。そう言ったきりゾロは目を閉じてくたりと動かなくなった。人い怪我を負っていてかすかに熱もあった。
「一階…？」
「とにかく行ってみましょう」
ゾロを腕に抱きしめたまま、ロビンが言った。そこで初めて一人足りないことに気づく。
「トラ男君は…？」
「あれ？」
「嘘だろ」
「置いてきちまったのか…？」
きっとここにゾロが一人でいたということは、案の定いつものように先着組とはぐれて迷子になったのだろう。どちらかというと大人しく寡黙なゾロは、その性格も手助けして余計迷子になりやすい。もしゾロにこんな怪我を負わせた”何者”かがいるとして、ゾロがその”独り”の時に狙われたのだとしたら？
ローが危ない。もと来た道を振り返るが、彼の姿はなかった。
バタバタバタッ
バッと全員が音のする方を見る。青く長い髪が見えて、一瞬でそれがビビであると確信する。先着組だ。全員が彼らを呼ぼうとしてその場で固まる。彼らを包むその空気が一瞬にして温度を落とした。かじかむぐらいのその空気の中で、いびつな影が憎悪に顔を歪ませてこちらを見た。四つん這いのその黒い怪物は、片目に深く細長い棒が突き刺さっていて、こみあげてきた吐き気にレベッカが口を押える。
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作者名：水筆の虜 | 作成日時：2016年5月4日 23時
