ワンピ学パロ【ホラー】 (ページ20)

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七ノ二ページ20

＿彼らは2階の防火扉が閉まっているのを分かっていたので、基本的に中央階段は使わなかった。袋小路に入り込む可能性があるからだ。そのため、3階の中央階段の防火扉は開いていたがあえて反対端の南階段を使った。

「ハァッ…閉まってる…」

　深緑色の防火扉が強固にそこを固めていた。やっぱり使わなくて正解だったわ、とナミがほっと息をついた。南階段を上がる前にゾロが中央階段を上がろうとしたので、ナミは止めて南階段に登れという指示を飛ばしていた。

　もし中央階段を使って4階に行こうとしていたら、と思うとぞっとした。追い詰められて終わりである。

　しかしあれはやはり疲れることは無いようだった。同じスピードで彼らを執拗に追いかけている。もうナミの体力もそこをつきかけ、徐々に足が遅くなってきていた。校舎全箇所を使った全力のリアル鬼ごっこである。とにかく休ませてほしかった。ふっと左に映った掃除用具入れのロッカーに意識と目が向いたため、サンジが隣から消えたことにナミは気づくことが出来なかった。

「ぐぅ」

　廊下にたたきつけられる足の音ではない、別の音、と喉から絞るような声。ナミはサンジがいないことに気が付いた。

「サンジ君！！」
「あぁぁああああ！！！！」

　数歩後ろにサンジが廊下にうずくまって叫ぶ。手で負傷した足をかばうようにしていて、スラックスを浸透して床ににじむ血液にナミは目を見張った。

「ナミ！！」「ナミさん！！」

　もうすぐそこまで”バケモノ”はやってきていた。ナミはロッカーを変形させる勢いで乱暴に開けて箒を取り出す。

「消えなさい！！」

　ちょうど先の折れて掃く部分の無くなっていた箒は、接続していた金属部分がむき出しだった。ナミは箒を握りしめて”バケモノ”に突き刺す。錯乱した頭でそうしたために、それは手元がぶれてちょうど片目を深くグッサリとついた。

「ギィ゛イ゛イ゛イ゛ィ゛ィ゛ィ゛イ゛イ゛イィイイイ」

　ブシュゥウウウッと黒い液を吹いて、奇声を発しながら”バケモノ”がそこでぐるぐると回りのたうつ。ナミは駆け寄ってきたゾロの背中にビビと二人がかりでサンジを背負わせる。怖さのせいで足が空回り何度か床に躓きながらも廊下を一直線に駆け抜け、今度は北階段を伝って1階へと一気に駆け下りたのだった。