106.渡したハンカチ ページ6
〜イェソンside〜
YS『大丈夫?』
俺の声に、目を伏せていた彼女は驚いた表情をして俺の方を向いた。
沢山の涙を目に浮かべて…曇り空の下、路地裏で袋を抱えた俺の姿はきっとぼやけているだろう。
YS『これ、使って?』
『えっ?』
戸惑った表情のまま、流れる涙を拭うこともせず俺を見つめ返す彼女の手に、ハンカチを握らせて。
YS『いいから!これで涙拭きなよ。』
そう言って、立ち去ることしか俺には出来なかった。
ただ、彼女の涙を止めたくて。あのまま、あの場所に居たら抱きしめてしまいそうだったから。
そのまま、人混みに紛れて…
ただ、今度はその流れに紛れるのではなく、流れる人たちを追い抜きながら雨が降り始める前に宿舎に戻っていた。
RW『ヒョンー、帰ったのー?お願いしたの買ってきてくれたー?』
YS『あぁ。』
RW『んー?ヒョン、大丈夫?なんか元気ない?』
YS『…大丈夫だ。それより何か作ってくれ。』
RW『ヒョン?…まぁ、いっかー。分かった!待っててね?』
頼まれた荷物をテーブルに置いて、俺はすぐにソファに体を沈めた。
突然降り始めた雨で濡れた窓ガラスを見つめて。
愛しいリョウクの問いかけにも、短い返事しか返せなくて。
心配して近寄ってくるマンネを、自然と遠ざけていた。
そうしなければ、動揺した気持ちを見透かされそうで。
高鳴ったままの鼓動を悟られたくなくて。
こうなった自分を落ち着かせるために、窓の外へ意識を向けたはずなのに。
泣いていた彼女が、この雨に打たれていないか。
無事に泣き止み、あの場を離れることが出来たのか。
そんなことばかり考えてしまって、結局高鳴る鼓動を落ち着かせることは出来なかった。
思い出す会話と言えば、一方通行で。
彼女のことを、何も知らないと思い知らされる。
あの時、涙を浮かべた目を見て。
俺の姿を見られなくて良かったと思ったのに、もう既にそのことさえ後悔していた。
…だから、まさかこんな形で再び逢えるなんて考えてもいなかったんだ。
KRYでのキャンペーンキャラクターなんて、初めての仕事だった。
でも、superjunior‐Mとして活動を行っていたキュヒョン、リョウクにとってはさらに過密スケジュールを課すことになってしまって。
2人とも弱気も吐かず、頑張ってしまうマンネだから。
海外でM活をこなし、それぞれの仕事を終えて、KRYとして日本へ到着したとき、2人とも体は限界にきていた。
172人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SuperJunior」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りん(プロフ) - 楽しみ(≧∇≦) (2016年5月22日 6時) (レス) id: 81ec167096 (このIDを非表示/違反報告)
yumika(プロフ) - りんさん» 早速、ありがとうございます。作者ながら…やっと!という感じです。 (2016年4月30日 0時) (レス) id: b12646fcc9 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - よいよ動き出す運命(≧∇≦) (2016年4月30日 0時) (レス) id: 81ec167096 (このIDを非表示/違反報告)
yumika(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます!夢のような展開になってきました。笑妄想が止まらず、初めて小説を書き始めたんですが、書き進めていくには想像力が乏しかったようで、とてもマイペースな更新ですいません。頑張って妄想を膨らましますので、どうかお付き合いください。 (2016年4月26日 20時) (レス) id: 60c9990c07 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - わたしは、ヒョクに恋してる…ジョンヨンは、わたしに?…(≧∇≦) (2016年4月26日 20時) (レス) id: 81ec167096 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:yumika0404 | 作成日時:2016年4月6日 20時