127.始まったとき ページ27
〜リョウクside〜
笑顔で言葉を交わす僕たちを、Aちゃんは驚いた表情で見ていて。
その姿に気付いたヒョンが、そっと近付き、優しく囁く。
YS『大丈夫だと言ったろ?』
ヒョンは、そっと彼女の手を握っていて。
それに気づいたAも、ヒョンに微笑み返していた。
それはまるで、長年連れ添った2人のような、兄妹のような…?
上手く表現出来ないけど、2人の間には穏やかな時間が流れていて。
それを醸し出しているのは、紛れもなくヒョンだったから。
キュヒョンと僕は、いつもならヒョンのこんな大胆な行動に突っかかるんだろうけど。
2人とも何も言えずに、そっと視線を外した。
それから、どれだけの時間が立ったのか。
誰も言葉を発しない楽屋からは、僕たちの規則的な寝息だけが響いて。
迎えにきたマネヒョンに起こされて、楽屋を後にした。
Aちゃんと絢音ヌナは、バンのところまで見送ってくれて。
それぞれ言葉を交わした後に、彼女はヒョンに大きな紙袋を手渡していた。
『…良かったら貰ってください。』
会話の内容までは聞き取れなかったけど、彼女がそう言って柔らかく微笑んだのが目に入った。
ヒョンは、その紙袋を受け取って少しだけ頭を下げて助手席に乗り込んだ。
彼女たちに見送られてバンが動き出してから、僕は紙袋を抱えたまま動かないヒョンに声をかけた。
ヒョンのどこか気の抜けた返事を放置して。
その紙袋を覗くと大きな箱に入ったクッキーと水筒に入った温かいミルクティが綺麗に収まっていた。少し不揃いなクッキーを見て、Aちゃんが用意してくれたものだと、すぐに分かる。
何か言いたげなヒョンをそのままにして、クッキーとミルクティを口にする。
Aちゃんのように優しい甘さを含んだそれらは、僕の疲れた体も癒してくれる気がして。
自分に厳しく、甘いモノなんて滅多に口にしないヒョンが食べると言い出すから。
キュヒョンと僕は初めてのことに驚いて、思わず反応してしまったけど。
僕たち以上におどおどしたヒョンが、何だが微笑ましくて。
僕は、コップにたっぷりミルクティを注いでヒョンの前に差し出した。
ミルクティをゆっくり口元へ運ぶヒョンは、その甘さに少し戸惑った表情を見せるけど、すぐに表情を緩ませて。それを見た、僕たち2人も思わず、口元が緩んでしまう。
「僕たちの大切なヒョンが、恋をした…」
その瞬間に、僕たちは立ち会ったんだ。
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りん(プロフ) - 楽しみ(≧∇≦) (2016年5月22日 6時) (レス) id: 81ec167096 (このIDを非表示/違反報告)
yumika(プロフ) - りんさん» 早速、ありがとうございます。作者ながら…やっと!という感じです。 (2016年4月30日 0時) (レス) id: b12646fcc9 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - よいよ動き出す運命(≧∇≦) (2016年4月30日 0時) (レス) id: 81ec167096 (このIDを非表示/違反報告)
yumika(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます!夢のような展開になってきました。笑妄想が止まらず、初めて小説を書き始めたんですが、書き進めていくには想像力が乏しかったようで、とてもマイペースな更新ですいません。頑張って妄想を膨らましますので、どうかお付き合いください。 (2016年4月26日 20時) (レス) id: 60c9990c07 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - わたしは、ヒョクに恋してる…ジョンヨンは、わたしに?…(≧∇≦) (2016年4月26日 20時) (レス) id: 81ec167096 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yumika0404 | 作成日時:2016年4月6日 20時