第9話 存在 ページ9
どっちが夢?
どこまでが夢?
────分からなくなってきた
大学やバイト、一人暮らしの部屋がとても曖昧な記憶になってる
お父さんは?
お母さんは?
兄弟はいただろうか
分からない
分からない…
分からない……!
怖い…っ
私は何者なの?
【私】が消えてしまいそうな恐怖に押し潰されそう
『………………っう…あっ…はぁ……っく…っ』
苦しい
息ができない
────────
「大丈夫だから、ゆっくり息をして」
誰かが寄り添うように側に座って優しく背中をさすってくれる
大丈夫、大丈夫
何度も言ってくれる
しばらくすると、乱れた呼吸も落ち着いてきた
『……ありがとうございます、もう、大丈夫です』
「良かった」
ニコリと微笑んだその人は、頭を撫でてそのまま私を抱きしめた
「おいジン!どさくさに紛れて何しとんねん!」
また違う人が、ジンと呼ばれた人をガバッと引き剥がす
「そうだぞ!俺だって……俺だって!…」
「岸くん、言うこと思い付かないのに無理に入ってこなくていいから」
「無理してねぇしっ」
「とりま落ち着こうや、Aちゃん起きたばっかやで」
「そうだね、ごめんね」
『……すみません、取り乱して』
しばし沈黙
「えっと、……まず自己紹介しとく?」
「そうしよ!」
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作者名:レイ☆ | 作成日時:2019年10月10日 23時