海人ルート【 1 】─ 1 ページ39
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歓迎会を開いてくれるとの事で、手分けして準備をしてくれてる
主役は何もしなくていいから!と言われたものの手持ち無沙汰だ
手伝おうと周りを見回すと、海人くんが手招きしてる
「Aちゃん、釣り行くよ!」
『私、釣り全然やった事ないけど大丈夫?邪魔じゃない?』
「平気平気、そこにいてくれればいいから!」
釣竿を見張ってればいいのかな?
それで良ければ出来そうだ
『じゃ、一緒に行く!』
「うん、行こう!」
私の手を引いて、海人くんは川の上流に向かう
左手にはペンとスケッチブック
「この辺でいいかな」
立ち止まると、何かを描き始めた
『釣竿とか網とか描いてるの?』
「違うよー……あ、まだ見ちゃダメ」
覗こうとしたら隠された
細かい線をたくさん描いているようだけど、何を描いているんだろう?
「できたっ」
スケッチブックが光って出てきたのは……
『クマ⁉⁉』
「魚を捕るといえば、この子でしょ」
ふふん、と得意げに笑ってるけど、なかなか斬新なアイデアだね、うん
いや、でもクマって………
間近で見ると迫力あるなぁ
海人くんが描いたクマだし、戦闘時も従順で見境なく襲ってくることはないのは分かってるけど
ちょっと怖い
のそり、とこちらにクマが近づいてきたので、そっと海人くんの後ろに隠れるように様子を伺う
「Aちゃんも触ってみる?」
クマの頭を撫でながら海人くんがニコニコと振り返る
え、これ海人くんじゃなきゃダメとか無い?
私が触っても怒らない?大丈夫?
ビクビクしながら手を伸ばしたら、笑われた。
恐る恐るクマの背中に触れる
うわ……クマってこんな感じなんだ
ちゃんと温かい
「これからAちゃんの歓迎パーティーするから、魚いっぱい捕ってきて!」
ゆっくり川の中に入っていったクマは、水の中を覗き込み、右手を振り上げる
バシャリと豪快な水飛沫が上がり、宙を舞った魚は設置しておいた籠に吸い込まれるように入る
『すっごい!!』
「出来る子でしょ。任せておけば大丈夫だよ。Aちゃんもこっちで休も!」
ヨシヨシ、と満足げに頷いて大きめの岩の上に腰を下ろした海人くんは、隣をポンポンと叩いて私を呼んだ
『あのクマ凄いね!……あ、凄いのは海人くんか、ほんと凄い!』
「今日はちょっと可愛い感じにしてみましたー」
興奮が収まらないまま隣に座って質問攻め
だって、ほんとに凄いんだもん!
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作者名:レイ☆ | 作成日時:2019年10月10日 23時