第24話 襲撃3 ページ24
「い゛ったっ!!この服気に入っとんのに穴あけんなやっ!」
噛ませたまま魔物のこめかみ辺りにナイフを突き刺す
彼らは強いから、忘れていた
魔物は血を流さなくても、
人は傷つけられたら血が流れる事も
痛みを感じる事も
「廉っ!!」
呆然とその光景を見ていると、右から剣の風圧を感じる
飛びかかってきた魔物を紫耀くんが斬り伏せたようだった
「ここ抜けたら治すから、あとちょっとイケる?」
「おん、余裕」
鋭い視線で周りを牽制しながら、同じく隙なく魔物を視界に捉えたままの玄樹くんに廉くんが返す
「分散すると危ないね。固まって一気に行こう」
ジンくんの言葉に、私を囲むように皆が立った
───────………………
「終わった終わった!」
両脇に虎を2頭従えた海人くんが笑顔を見せる
「いや〜ヤバかったね」
「玄樹ぃ治して〜バリ痛いわ」
「はーい、腕、出して」
─── 廉くんに、怪我をさせてしまった
『あのっ……ごめんなさいっ……』
私がちゃんと避けられれば
私が自分の身くらい守れれば
もっと力があれば
「泣かんといて、こういう時、上手いこと言うの苦手やねん」
『ごめっ……』
「あぁもう、ほんまにええから!」
泣きやまないと余計困らせるのに、一度流れ始めたらもう自分の意思で止める事は出来なかった
「廉が体張って守るとか珍しいよね」
ニヤニヤしてる海人くん
「やって、こいつ危なっかしいねんもん」
『………っ』
本当に、私は無力だ
「廉は、責任を感じてるんだよね?自分が魔法さえ使えてたら、Aちゃんを危険な目に合わせなくて済んだんじゃないかって」
「………」
ジンくんを軽く睨みながら後ろを向いてしまった廉くんの様子を伺う
耳が、赤い?
「はいはいはい、Aこっち来て」
紫耀くんが私の肩を押して廉くんの正面に移動させる。
「れーん、ここは男が決めなきゃじゃね?」
「………Aちゃんが無事なら、それでええねん」
『……ありがと…』
「いいね、青春だね」
「おじい、それなんか違うと思う」
皆は笑ってくれるけど、私はどこか釈然としないまま夜を過ごした
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作者名:レイ☆ | 作成日時:2019年10月10日 23時