第19話 あの日の夜2 ページ19
神宮寺side
野営の準備も終わり、2人が戻ってくるのを待つ
それほど遠くない場所って言ってたけど、待っている時間は酷く長く感じる
「暇やな」
「ほんと、それな」
焚き火の炎がパチパチと爆ぜる
木々の間から人影が見えた
「あ、帰って来たかも」
「紫耀、女の子を抱えとる?」
女の子?
こんな森の中に?
「女の子をお姫様抱っこしてるとかエモいわー!」
そんなんで盛り上がってた俺らだけど、間近で女の子の姿を見て息を飲む
その女の子が
傷だらけだったから ────
「玄樹、頼む!」
「ここに寝かせて」
玄樹が両手をかざすと、女の子の体が光に包まれ傷が消えていく
血の気の引いた青白い肌も、少しずつ生気が戻って来たようだ
「あとは、これで眠れば大丈夫だと思う」
「よかったぁ!」
「マジびびったわ」
とりあえず一安心
ただ、分からない事は山積みだ
「なぁ、いわげん。なんか、いろいろわかんねぇんだけど…いわげんは何を見たの?この子の服も見たことない系だし」
「んー……なんか急に、あっちの方に何か感じたんだよね…今すぐ行かなきゃヤバい!って。すごい大事な何かがある気がしたの」
玄樹は、すごく感覚が鋭い
お祖父さんが城付きのシャーマンで、その能力を引き継いでいるらしい
「女の子助けるってわかっとったら、俺行きたかったわ」
廉が口を尖らせてる
「廉はもう魔法使えるエネルギー使い果たしてたでしょ。体力がこの中で一番残ってそうな紫耀と、詳しい場所まで特定できなかったから、遠距離攻撃できる岸くんにも行ってもらった」
「実際、岸くんいなかったらヤバかったよ。飛び道具がないと間に合わなかった」
青白い顔で眠る女の子を見つめる
「あ、名前はAちゃんだって!いろいろ混乱してるみたいだったから、それ以上の事は聞くのやめた」
「何か、訳ありの子だよね。こんな森の奥深くまで、たった1人、軽装で無傷で来れるとも思えないし」
「どこから来たんだろうね」
「本人に聞いてみようや。それが一番早いと思う」
「そうだな、起きたら聞いてみようぜ」
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作者名:レイ☆ | 作成日時:2019年10月10日 23時