第11話 私のこと ページ11
私のこと……………
『えっと…AA、大学4年生で22歳です……』
何をどこまで話せばいいんだろう
皆さん、こんなに温かく迎え入れてくれたんだ。
何か、何か話さなきゃ…何か…
「Aちゃん、好きな食べ物は?」
ジンさんが話を振ってくれる
『………タピオカ』
「趣味は?」
『うーん……カフェで本を読む』
「最近、行って楽しかった場所は?」
『…………友達と遊園地に行きました』
「………………全然わからへん。タピオカって何?かふぇ?ゆうえんち??優太わかる?」
「いや、初めて聞いた」
そうだ、友達と遊園地に行った
でも
遊園地の名前も友達の名前も顔も思い出せない
情景はなんとなく出てくるけど、顔だけモヤがかかったように見えないんだ
「……無理しなくていいんだけど、どこから来たのか、どこに住んでいたのか、聞いてもいい?」
岩橋さんが膝の上で固く握っている私の拳を優しく両手で包み込み問いかける
ああ、この人達には素直に話しても大丈夫
そう思えた
『突然頭が痛くなって、気を失って、気がついたらあの場所にいたんです。ここに来る前にいた場所は、なんとなく風景は見えるんですけど、名前とか全然思い出せなくて………すみません』
「謝らないで。辛いこと聞いてゴメンね」
「記憶喪失かなぁ」
高橋さんが手に持った黄色いペンをクルクル回しながら言う
「名前の感じは俺らと似てるけど、知らない言葉がポンポン出てきてるから、どこか遠い国の出身ちゃう?」
「………異世界かも」
「「「「「異世界⁈」」」」」
皆の視線が岩橋さんへと集まる
「おじいちゃんの家の書庫にあった本で読んだ事ある気がするんだ。ただ、かなり前だからハッキリ覚えてなくて………おじいちゃんの家に行ってみてもいいかな。ちゃんと調べたい」
────静寂が辺りを包む
「俺は手掛かりが手に入る可能性があるなら、行ってみても良いと思う」
真っ先に賛同したのは平野さん
「そうやな、これと言って急ぎの予定もないし」
「しばらく周ってない地域だし、行くまでの道のりの魔物を減らせれば一石二鳥。リーダー、どうする?」
永瀬さん、神宮寺勇太さんも続き、岸さんを見る
「俺も賛成!じゃ、明日の朝に出発ってことで!」
「「「「「おー!」」」」」
42人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:レイ☆ | 作成日時:2019年10月10日 23時