第1話 日常 ページ1
お気に入りの噴水の縁に腰掛け、小鳥のさえずりに耳を傾ける
色とりどりの花
晴れ渡る空
吹き抜ける風が気持ちいい
昼食の後にこうしてお気に入りの場所を散歩するのが好きだった
………………
次に見えたのは薄暗い部屋の中
石造りの強固な建物
窓の外には燃え盛る炎が見えて
叫び声が聞こえる
誰かに手を引かれて階段を駆け上がる
顔はハッキリとは見えない
最上階の部屋に着くと
もう1人、誰かが立っていた
後ろには大きな鏡
こちらに掌をこちらに向け呪文を唱えている
私の体がオレンジの宝石のようなものに包まれた
そのまま鏡に吸い込まれていく……
───────…………
────っ!!!
飛び起きると
そこはいつもの私の部屋だった
……また、あの夢だ
いつの頃からか繰り返し見る夢
大きな鏡に吸い込まれ
そこでいつも目が醒めるのだ
酷く胸が締め付けられる
漫画の読み過ぎかなぁ
それにしても
もう少し幸せな夢ならいいのに
時計を見ると午前4時
もう一眠りしよう
再びベッドに潜り込み
目を閉じた
───────
『おはよ…ふあぁ〜』
「A、おはよー!」
付属の高校から女子大に入り
大学4年生になった
今日は朝から講義を受けて
午後からカフェのバイトの予定
教室に入り、いつメンの集まる席に向かって声を掛ける
眠い
眠すぎてアクビが止まらない
あの夢を見た後はいつも寝不足だけど
今日はズバ抜けて酷い
「眠そうだね」
『ちょっと夢見が悪くて寝不足なの』
「まぁ2限は緩い先生だから寝とけば?」
『ん〜限界だったら寝よ、ノートよろしく』
「しょうがないな、なに奢ってくれる?」
『アイスでどう?』
「あー、今限定で出てるアレがいい!」
『…はーい』
教授が入ってくるのが見えて会話を打ち切り
長い1日になるなぁと小さく溜息をついて
ルーズリーフとお気に入りのペンを取り出した
寝不足が酷い以外は
この日もいつも通りだった
…いつも通りのはずだった
───────
バイトが終わり外に出ると
朝の晴天が嘘のように空が黒い雲に覆われている
天気予報は晴れだったから
傘も持ってきていない
急ぎ足で電車に乗るべく駅に向かう
────っっっ!!
突然、頭が割れるような頭痛
痛い……痛いっ!!
堪らず崩れ落ち膝をつく
そのまま意識は闇に包まれていった
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作者名:レイ☆ | 作成日時:2019年10月10日 23時