弟子ができました(緑)

弟子* ３９ ページ39

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「 でも良かったやん！Aちゃん可愛いって思われたかったんやろ？ 」


「 はい。」


「 その人には可愛いって思われたから告られたんやろ！修行の甲斐があったやん！ 」


「 そうですかね？」





苦笑交じりにしげの言葉に相槌を打ってる。

そうだ、Aちゃんが俺に弟子入りしてきたのは女子力を身につけたかったから。

可愛いって言われたことがないのを女子として気にしていたからだ。


だけど、Aちゃんは告白された。(されるであろう)

ていうことは、少なからずその人の目には可愛いと認識されたわけで

当初の目的は果たせたということになる。





「 どうなんですかね、師匠。」





てててっと俺に近寄ってきた。

Aちゃんの口から出てきた「師匠」という言葉が胸に突き刺さる。


ああそうだ、俺は師匠なんだ。それ以上でも以下でもない。

Aちゃんにとったら俺は師匠であって、同じクラスの神山くんではない。





「 でもまあ良かったやん。これで師弟関係も終わりやね。」


「 え、待ってください！それってどういう...、」


「 どういうも何も当初の目的果たせたんやし、これ以上続ける理由もないやん。」





にっこり笑ってそう言い切った。

笑わないと、涙が出そうだったから。

しげはびっくりしたように目を見開かせ、Aちゃんは泣き出しそうな表情をしてた。

そんな状況に耐えられなくなって俺はその場から逃げるように教室へ向かった。




忘れてたんだ、いや、忘れようとしてたんだ。

俺らは師匠と弟子な関係なだけだということ。


俺の、師匠としての役目はもう終わったんだ。

だとしたら、もう俺はAちゃんのそばにいる理由はない。



自惚れてた。

もしかしたら、って。


でも違った。

俺はいつでもAちゃんの師匠なんだ。

友達ですらないんだ。

やのに俺はもしかしたらがあるかもしれないって期待してたんだ。





「 ...はは、アホらし。」





最後立ち去るとき、Aちゃん泣きそうな顔してたな。

あんな顔させたかったわけじゃなかった。

女の子は笑顔が似合うなんてくさい言葉をどこかで聞いたことがあるけど

その言葉通りの子だった気がする。

...さっきのは冷たすぎる言い方だったかもしれない。


今すぐ2人の元に戻って謝りたかった。

でも変なプライドが邪魔して、結局2人の元へ謝りに行くことはなかった。









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