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第2話。 ページ9

「あ、妹だ」

リビングで曲合わせをしているとシンの妹が学校から帰ってきた。

「あ…こんばんわ」

妹は俺たちを見るなり挨拶だけしてすぐにリビングから出て行った。

結構久しぶりみたけど少し痩せたか?

表情も前より暗いし…

「お前の妹、思春期か?」

俺は音を確認しているシンにそう尋ねてみる。

「さーな」

でもシンから返ってきた言葉はそれだけ。

思春期の兄妹…

ましては血の繋がりのない男女ならこれは当たり前なんだろうか。

いや、何かが違う。

明らかに妹はシンを見て怯えた顔をした。

そして一番変なのがあのシンが妹の話を一切しなくなったことだ。

「なぁシン、妹となんかあっただろ?」

そう聞くとシンはベースを弾くのをやめて俺に視線を移した。

「いちいちうるせーんだよ。てめぇに関係ねぇだろ」

ほらやっぱりな。

「お前、その喋り方ぜんぜん似合ってねーよ」

「…は?」

「俺の真似してんだろうけど似てねぇっていってんの」

だって俺とお前は根本的にちげーだろ?

「別にしてねぇし、早く曲合わせ…」

「なぁシン、別にお前がおかしくなったあの日に何があったのかなんて聞こうと思ってねぇよ」

俺はシンの言葉を遮るように続けた。

「でも長年腐れ縁の俺にだけは嘘つくな。」

だってお前、本当は優しい奴だろ?

「まぁ…今すぐにとはいわねぇけど、もしお前が抱えきれなくなった時は俺がちゃんと一緒に悩んでやる。」

こいつは無理に聞こうとしても絶対言わない強情な奴だし。

今はただ待つしかねぇな。

俺は静かに立ち上がってソファーに座っているシンの額をピンとはねた。

そして黙り込んでしまったシンに「じゃあ今日は帰るから」と付け加えリビングを出た。






「ナツメ!俺、妹できた!!」

そう笑顔で俺に言ってきたのはなん年前だったかな??

いや、もう10年前か。

「めっちゃ可愛いーの!ナツメも今度見にきてよ」

そう満面の笑みで妹の話をするお前を今でも鮮明に覚えている。




シン…



大切なものを傷つけるってどんな気持ちだ?



優しいお前はどんな気持ちでいつも妹を泣かせているんだ?



お前の苦しみは俺には計り知れなくて…



怯え苦しむ妹に全てを打ち明けたくなってしまう自分を抑えるのに必死なんだ…

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kitty(プロフ) - コメント失礼致します。続編のパスワードを教えていただきたいのですがよろしいでしょうか? (2021年3月1日 2時) (レス) id: ec02268633 (このIDを非表示/違反報告)
ツミキ(プロフ) - こんにちは!コメント失礼します!続編のパスワードをお伺しでもよろしいでしょうか! (2021年2月20日 21時) (レス) id: 38aa17f1c1 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - コメント失礼します!よろしければ続編のパスワード教えていただきたいです!よろしくお願いします。 (2021年2月20日 8時) (レス) id: 69753dea94 (このIDを非表示/違反報告)
なの(プロフ) - こんにちは、コメント失礼致します。いつも作品楽しく読ませて頂いております。もしよろしければ続編のパスワードの方お伺いしてもよろしいでしょうか?よろしくお願い致します。 (2021年2月15日 7時) (レス) id: ad7059f36c (このIDを非表示/違反報告)
あられ@帝国民(プロフ) - コメント失礼します!続きがすごい気になるお話でした!!もし主様がよろしければ、続編のパスワードを教えて頂きたいです!よろしくお願いいたします! (2021年2月14日 14時) (レス) id: dc7474ee4c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まりあ | 作成日時:2019年6月4日 4時

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