part3終わり。 ページ45
「もう泣かないで…」
「うん、うん…ごめん」
「本当にいいの?無理してない?」
「してないよ…」
「今日じゃなくたっていいんだよ?」
「ううん…今日じゃないと嫌なの」
そう言って涙を必死で堪える彼女。
でも結局その涙は頬を伝う。
なんだかその涙が今日が最後と俺に語りかけるようで心がじんと痺れる。
「お願い田ノ浦くん…して…」
俺の服を握りしめる彼女の手は明らかに震えている。
そんな彼女の手を取りゆっくりとベットへ押し倒す。
「蓮って呼んで」
俺は彼女の白い首筋に舌を這わせながらゆっくりと服を脱がしていく。
「…れ…ん…くん」
「もっと…」
この時間を忘れないように。
「…れんくん…」
「もっと呼んで」
全ての服を脱がせた後、ゆっくりと彼女の刺し傷に触れる。
一生消えない傷。
彼女がこの小さな体で懸命に生きた証。
「あんまり見ないで…私、汚れてるから…」
そういうと彼女は手で傷跡を隠した。
「A、君は汚れてなんかないよ」
俺はそう言って彼女の手を自分の胸に当てる。
「…っ」
不意打ちの名前呼びのせいか彼女の顔は真っ赤に染まっていて、それが更に愛おしく思えて…。
「ほら、あまりにも綺麗だから俺の心臓壊れそう。」
すげー切なくなる。
「ほら、名前呼んで…」
「…蓮くん」
「まだ足んねぇよ」
「蓮くん…蓮くん…」
「もっと…もっと呼んで」
「蓮くん…蓮くん…蓮くん…っ!」
大好きな人と繋がるってこんなに幸せなんだな。
こんなに大切なこと君に出会うまで気がつかなかったよ。
でも何故だろう…?
こんなに幸せなのに涙が目に染みる。
最後って訳じゃねぇのに。
そんな訳ねぇのに…
何故か目に移る彼女は涙のせいかずっとぼやけて見えた。
これがAと繋がった最初の夜。
そしてこの日が彼女を抱きしめることができた最後の夜…。
1100人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kitty(プロフ) - コメント失礼致します。続編のパスワードを教えていただきたいのですがよろしいでしょうか? (2021年3月1日 2時) (レス) id: ec02268633 (このIDを非表示/違反報告)
ツミキ(プロフ) - こんにちは!コメント失礼します!続編のパスワードをお伺しでもよろしいでしょうか! (2021年2月20日 21時) (レス) id: 38aa17f1c1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - コメント失礼します!よろしければ続編のパスワード教えていただきたいです!よろしくお願いします。 (2021年2月20日 8時) (レス) id: 69753dea94 (このIDを非表示/違反報告)
なの(プロフ) - こんにちは、コメント失礼致します。いつも作品楽しく読ませて頂いております。もしよろしければ続編のパスワードの方お伺いしてもよろしいでしょうか?よろしくお願い致します。 (2021年2月15日 7時) (レス) id: ad7059f36c (このIDを非表示/違反報告)
あられ@帝国民(プロフ) - コメント失礼します!続きがすごい気になるお話でした!!もし主様がよろしければ、続編のパスワードを教えて頂きたいです!よろしくお願いいたします! (2021年2月14日 14時) (レス) id: dc7474ee4c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まりあ | 作成日時:2019年6月4日 4時