第6話。 ページ31
夢のような時間だった。
ミユキが普通に笑いかけてくれて綿菓子も焼きそばもりんご飴も買ってくれた。
歩く時、
「ほら、手」
そういって私の手を引いてくれた。
なのにどうして?
どうしてAちゃんを見かけた瞬間私のこと見えなくなったみたいに走り去っていくの?
でも戻ってきてくれるよね?
今のはAちゃんが絡まれてたから兄として助けに行くのは当然で…。
絶対それ以外はない。
ない…よね?
グルグルと脳内がすごいスピードで回っていく。
「…え」
それから数分後、Aちゃんがすごいスピードで私の横を走り抜けていった。
浴衣なのにあんなに走れるんだ…
運動神経皆無の私からは想像できない。
そんなことを思いながら彼女の背中を見つめているとすぐに後ろからバタバタと走る音が聞こえた。
あ、ミユキ…
ほらね、私のバカ…
やっぱりミユキは兄として妹を助けただけで…
「ちょっと、走らなくてもいいのに……」
そう駆け寄った私の横をミユキもさらりと通り抜けていく。
ミユキ…
なんで…
ミユキに話しかけた私の声は虚しく誰からも返されることはなく、彼は私になんか目もくれずAちゃんを追いかけていった。
ねぇ…なんで?
なんでなのよ…
私、また1人じゃん。
ミユキ…
貴方はどれだけ私を傷つけるの?
どれだけ私を惨めな気持ちにさせたら気が済むの?
なんでよ…
こんなに好きなのに。
どれだけ思っても貴方にたどり着けない。
もう疲れた。
貴方を追い続けることにもAちゃんに嫉妬するのも。
だからもうやめる。
ミユキを好きなのもうやめる。
「……っ」
私は人だかりの中、涙を堪えながら祭り会場を後にした。
1099人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kitty(プロフ) - コメント失礼致します。続編のパスワードを教えていただきたいのですがよろしいでしょうか? (2021年3月1日 2時) (レス) id: ec02268633 (このIDを非表示/違反報告)
ツミキ(プロフ) - こんにちは!コメント失礼します!続編のパスワードをお伺しでもよろしいでしょうか! (2021年2月20日 21時) (レス) id: 38aa17f1c1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ(プロフ) - コメント失礼します!よろしければ続編のパスワード教えていただきたいです!よろしくお願いします。 (2021年2月20日 8時) (レス) id: 69753dea94 (このIDを非表示/違反報告)
なの(プロフ) - こんにちは、コメント失礼致します。いつも作品楽しく読ませて頂いております。もしよろしければ続編のパスワードの方お伺いしてもよろしいでしょうか?よろしくお願い致します。 (2021年2月15日 7時) (レス) id: ad7059f36c (このIDを非表示/違反報告)
あられ@帝国民(プロフ) - コメント失礼します!続きがすごい気になるお話でした!!もし主様がよろしければ、続編のパスワードを教えて頂きたいです!よろしくお願いいたします! (2021年2月14日 14時) (レス) id: dc7474ee4c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まりあ | 作成日時:2019年6月4日 4時