義兄は私を嫌っている。part3

第3話。 ページ28

「ちょっと待ってってば、ミユキ！」

私はスタスタと教室を出て行くミユキを追いかける。

「祭りのことだけどっ！」

私がそう言うとミユキはゆっくりと振り返った。

やっと振り返ってくれた…

ザワザワとうるさい廊下。

みんなが私たちに注目してる。

でもそんなことどうでもよくて…

…久しぶりにちゃんとミユキと目があった。

どうしよう…嬉しくて死んじゃいそう。

「…おいで。」

ミユキはそう言うと私の手を引いた。




バシンッ

その音はミユキが空き教室の扉を乱暴に閉める音。

「あの…ミユキ？」

さっきまで引いていてくれた手も空き教室に着いた途端すぐに離される。

「…悪いけどさっきの嘘だから」

「…え？」

「祭りの話。あの女しつこいからそれを断るためにあんたを利用しただけ」

冷たい目。

それにあんたって…

まるで他人みたいに…。

本当にミユキはもう私のこと…

「ううん、全然大丈夫」

でもね、どんなに突き放されようと冷たくされようと…

「ミユキの女よけに今後も利用していいよ」

ウザがられようと煙たがられようと…

「私が彼女のフリしといてあげる」

あなたの隣にいたいの。





「何言ってんの？」

しばらくの沈黙の後、ミユキは低い声でそう言った。

「俺はもうお前の名前を呼ぶことすら嫌悪するくらい嫌いなんだよ。」

どうして？

私、貴方にそんなに嫌われるようなことしたの？

「利用したことであんたを勘違いさせたのなら悪かった」

「ちょっと、ミユキ…っ」

私は教室を出ようとするミユキの腕を掴む。

でもミユキはその手をすぐに振り払い私を壁に押し付けた。

「彼女のフリ？ふざけんな。もう必要ねぇんだよ」

ミユキの冷め切った態度に私は言い返すこともできない。

だって言い返したら更に傷つけられる気がして…

「じゃ、さっきは合わせてくれてありがとう。」

ミユキはそう言って私から離れた。

初めてミユキの口からでた本心。

そっか…

なーんだ。

私、嫌われてたんだ…



じゃあもう…何しようが勝手だよね。

どうせ嫌われてるんだし。



「ミユキ、私と一緒にお祭りにいこ」



「…は？」



「それでミユキのことは諦める」



「あんた、俺の話聞いてた？」



「もし行ってくれないのならミユキがついた嘘みんなにバラすから」



1日、経った1日だけでいいの。



それでちゃんと諦めるから。



「ミユキ、18時に私の家の前に集合ね」



私はそう言って黙り込んだミユキを残して教室を出た。

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