義兄は私を嫌っている。part3

第2話。 ページ27

「お祭り楽しみだね」

「新しい浴衣買わないとっ！」

夏休み前、色めき立つ教室。

去年の私もこんな感じだったのかな？

「ねぇ、ミユキは誰と祭り行くの？」

そう私の好きな彼に質問するのは学年で一番可愛い女の子。

彼女のふわふわの髪がさらりと私の前を通り過ぎる。

すごくいい匂い。

私はミユキがどんな反応をするのか気になって斜め前の席にいる彼らにそっと聞き耳を立てた。

「行く相手がいないなら私と一緒に回らない？」

なんで堂々としたお誘いなんだろうか。

こんな可愛い子に誘われて行かない男なんていな…

「わり…俺、もう行く奴決めてんだわ」

ミユキのその一言にクラス中の男女が振り返った。

それは私も同じで…

まさか断られるとは思っていなかったであろう彼女は、

「そ、そうなんだ…誰か聞いてもいいかな？」

結構動揺していた。

「別にいう必要ねぇだろ」

ここまで彼女に冷たく当たれるのこの学校で貴方くらいだよ。

「お願い、それだけ聞いたら満足だから」

なかなか折れないな。

流石というべきか。

でも私も聞いてみたい。

少し怖いけど、諦められるかもしれないから…

「カナ…18時にお前の家の前に集合な」

カナ…

カナ…

カナ…

「え、私！？」

今度は私が一気にに視線を浴びた。

そしてしばらく静寂が訪れた後…

「「えええー！！」」

今度は一斉にクラス中がざわめいた。

でも一番驚いてるのは私ですけど。

「返事は？」

ぐちゃぐちゃになっていた頭はミユキの催促によって一つにまとめられた。

「う、うんっ！」

これは行くしかないと。

第3話。→←第1話。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す