episode5 ページ7
『失礼しますよーっと。』
そう言いながら悪びれもしないで陛下、及びこの国の女王で自分の主である人の個室の窓を開ける。
部屋の静けさに、仕事か……と独りごち部屋を見回すがそれにしては生活感のない部屋に違和感を覚える。
前陛下がお亡くなりになったのは噂に聞いていた。だがもう9年ほども前の話だ。
ゼンの様子を見ても引きずったような様子はない。
それに、ハルト現陛下が塞ぎ込む性格ではないことなんて100も承知である。
なのにその部屋はあまりにも閑散としていて。
まるで部屋の主を失い、いかにもつまらなそうにしているようにも見える。
まさか。
そう思うや否やゼンの声を探し場内を駆ける。
が、ゼンの声は耳には届かない。
代わりに、今日出会ったばかりの白雪という少女の声が聞こえた。
声の聞こえた場所にたどり着くと、ゼン殿下は白雪の隣で眠りこけていた。
ああ、これはゼン殿下に聞くのは難しそうだと瞬時に判断する。
『お、お嬢さん、ミツヒデどのでも木々嬢でもいい、どこにいるか知ってる……?』
血の気が引く気分でいると、白雪は慌てて「と、とりあえずこちらに!」
と自分の隣に座らせてくれた。
すると、
「ゼンの言う通りになったな。」
「あはは……ですね。」
白雪を呼びに来たらしいミツヒデどのがこちらに向かって歩きながらそういった。
なるほど、予想されていたわけか。
『失礼、ミツヒデどの。陛下は……ハルト陛下はどこにおられるか……リリアス?それとも……もっと北なんてことは言わないで頂きたいのだが……。』
その言葉にミツヒデどのか苦笑し、残念ながら。
と言葉をこぼした。
『……そうか。これはまたしばらく会えそうにはないな……。』
深いため息をつき項垂れる。
10年も音沙汰のなかった自分が言えたことではないが、どこにいるかくらいのことは教えて欲しかった。と、本来の目的だった人物を恨めしく思う。ここまで来てしまってはいささか遅い後悔でもあるのだが。
「あ、あの、Aさん!もし良ければなんですが……目を見せて頂けませんか??」
それまで横で慌てていた白雪が凛とした目でこちらを見たので断る理由もなく目を合わせた。
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セラ(プロフ) - 続き気になります!とても好きな作品です!なので更新楽しみにしてますね! (2019年10月15日 18時) (レス) id: 5880a74d39 (このIDを非表示/違反報告)
yumi823416(プロフ) - オビの相棒になりたいさん» ひゃぁぁぁ、本当にコメントが来るとは思っていなくて今嬉しい発狂をしております((( これはやっぱり説の立証が出来るのでは!?!?わかります、どこか似たところを感じますよね! ! ありがとうございます〜〜!! (2018年11月8日 0時) (レス) id: 0f61d323b1 (このIDを非表示/違反報告)
オビの相棒になりたい - いつも楽しみに更新待ってます!!私はオビ推しで、アル戦ではギーヴが好きです!何となく似てるような気がするんですよね。もし作者様が、アル戦の夢小説をしかもギーヴのお話を作る事になったら飛んでいきたいと思います\( ~∇~)/ これからも更新頑張って下さい! (2018年11月5日 23時) (レス) id: 0d9e5a847b (このIDを非表示/違反報告)
yumi823416(プロフ) - まるさん» 画面を切った際にまた付いていたようです、コメントのおかげで気づくことが出来ました;;教えて下さりありがとうございました! (2018年10月28日 15時) (レス) id: 0f61d323b1 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご確認下さい。オリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年10月28日 15時) (レス) id: 403bff38f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆ〜みん | 作成日時:2018年10月28日 14時