episode31 ページ33
「誰かいないのか、近衛兵団のものだ!」
そうミツヒデが呼びかけると、何やらガタガタゴロゴロと中から聞こえてくる。
「みなさん……!殿下まで!」
ゼンは塔から出るなり派手にコケた少年に近づき膝をつく。
「定期連絡が途切れたから様子を見に来た。」
すると、前触れもなくAがミツヒデの後に隠れる。
「……A?」
Aはしーっ、と口元に人差し指をあて、顔だけこちらを向けたミツヒデに伝える。
『ちょっと気になることがあるから、また後でね。すぐ戻ってくるからゼンに伝えておいて』
それだけ言うと、返事を待たずにどこかへ行ってしまった。
その直後、少年の後ろに人影が現われる。
「主、塔の中でみんなが寝てますよ。」
それ紛れもなくオビの姿だった。
「こ、この者はいったい……」
「主の従者ですよ。」
「まだお試し期間だけどな。」
ゼンが説明するより早く従者を名乗ったオビにため息をこぼす。
そして立ち上がり塔の中へと足を向ける。
「邪魔するぞ。」
そう言って塔の中へと向かうゼン達を少年は焦って止めようとする。
どうやら魔物のせいで仲間たちが倒れたと思っているようだ。
『魔物……ねぇ。それよりもあいつがいるのは誤算だったかな。まさかお試し従者さんまで連れてきてるとは思わないってば……。』
塔の近くの高い気に登り、そう呟く。
『……さて。これでも宮廷薬剤師見習いですし、いっちょ薬に必要なもの集めてきますか。』
ラクスドに来たのは2度目だが、雪の多い土地になる薬草は少ないため生えやすい場所はより特定しやすい。
それに、ここらの薬草は雪の下に埋まりやすいため薬効が低く十分な効果は望めない。
『仕方ない、これは白雪を読んでもらうしかないかな……。』
そう独りごち、木から降りた時に左手にピリッとした痛みを感じた。
『っ、おっかしいな……まだ雪はそんなに触ってないから、雪解け水で薬が取れるなんてことはないはずなんだけど……。』
赤くなった部分に持っていた薬の残りを塗り直し眉を顰める。
『そんなことより今は眼前の薬草に集中っと。』
そう言って薬をしまうと雪の下に埋まっているであろう薬草のため、しゃがみ込み雪を掘り返す。
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セラ(プロフ) - 続き気になります!とても好きな作品です!なので更新楽しみにしてますね! (2019年10月15日 18時) (レス) id: 5880a74d39 (このIDを非表示/違反報告)
yumi823416(プロフ) - オビの相棒になりたいさん» ひゃぁぁぁ、本当にコメントが来るとは思っていなくて今嬉しい発狂をしております((( これはやっぱり説の立証が出来るのでは!?!?わかります、どこか似たところを感じますよね! ! ありがとうございます〜〜!! (2018年11月8日 0時) (レス) id: 0f61d323b1 (このIDを非表示/違反報告)
オビの相棒になりたい - いつも楽しみに更新待ってます!!私はオビ推しで、アル戦ではギーヴが好きです!何となく似てるような気がするんですよね。もし作者様が、アル戦の夢小説をしかもギーヴのお話を作る事になったら飛んでいきたいと思います\( ~∇~)/ これからも更新頑張って下さい! (2018年11月5日 23時) (レス) id: 0d9e5a847b (このIDを非表示/違反報告)
yumi823416(プロフ) - まるさん» 画面を切った際にまた付いていたようです、コメントのおかげで気づくことが出来ました;;教えて下さりありがとうございました! (2018年10月28日 15時) (レス) id: 0f61d323b1 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 作品を作る前にルールをしっかりご確認下さい。オリジナルフラグをちゃんと外して下さい (2018年10月28日 15時) (レス) id: 403bff38f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆ〜みん | 作成日時:2018年10月28日 14時