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それからというもの、生活は今までとは打って変わり、まるで新しい人生を生きているようであった。
まず、牢屋の生活ではなくなった。
用意された部屋は今まで居た場所とは比べ物にならないほどの大きさだった。そしてその部屋には私が作ってきたようなタンスがあったり、いい布が敷かれた柔らかい大きな場所があった。スマイルが言うにはベットというらしい。
他にも色々驚くことはあったが、何よりもご飯が美味しかった。
『いい匂い…』
今までは作業を始まる前と寝る前に少しの味のしない物を食べるだけだった。しかし、今は日が昇った頃、日が頂点に昇る頃、日が完全に落ちる頃にご飯が出されるようになった。しかも、それは味がしていて【美味しい】という感情を初めて感じた。
他にも、スマイルは色々と私にしてくれた。服を沢山用意してくれ、週に一回の水浴びが毎日お湯ででき、その都度私は幸せというものを感じられた。
「どうだ、ここでの生活は」
『凄く幸せです！』
「それは良かった。…じゃあ、今日も」
『はい』
"今日も"とスマイルが言うのは、私がここに来た時に言われた唯一のお願い。
私はいつものようにスマイルの隣へ行き、スマイルの膝へ手を置き、そっと頭をスマイルの胸へ押し付けた。
「いい子だ」
そう言いながら私の頭を撫でるスマイル。頭を撫でられるのは最初は抵抗したものの、今では嬉しいと感じるようになった。耳を触られるのは少し変な感じがするが、嫌ではない。
「ああ、フサフサ……今日も可愛い」
この行為、辞書という本で載っている言葉を使うとしたら"寵愛をする"というらしい。そして私は"寵愛を受けて"いる。
愛という物は不思議で、私が人間に抱いていた嫌悪感と殺意を無くさせた。そして、生きる楽しさというものを感じさせた。
『好きです、スマイル』
「ありがとな」
私はスマイルに愛を伝えると、スマイルはにっこりと微笑んでそう答えた。
私が伝える愛は愛情、スマイルが私に与えている愛は寵愛。だから私の気持ちは実ることは無い。けど、それでいい。
だって、
"愛であることは変わらないから"
『大好き』
スマイルの胸にぐりぐりと頭を押し付け、愛の余韻に浸った。
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作者名：リリルル | 作成日時：2020年1月8日 4時
