呼び続ける ページ3
「太一、起きて。遅刻するよ」
「んっー」
少し不機嫌そうに首を縦に振りながら返事が帰ってくる
「ほら、起き上がって」
布団を剥がして腕を無理やり引っ張って布団から引きずり出す
「……はよ」
寝起き独特のかすれ声
「おはよう、朝ごはん置いといたから、食べてね」
「ん、ありがと」
「あ、パジャマ洗うから、着替えたら先に持ってきて」
「んー」
太一は、朝に弱い
起きるのは遅いし、
準備するのだって遅い
だから、朝の家事は私の日課となりつつある
親はいなくて
産んでもらった母は別の人
父は同じ人
奇跡的に出産した日がかぶってしまった
母は、両者とも早くに亡くして
父は私たちを高校まで育てて出ていってしまった
寮で生活している私たちだが、週末の部活しかない日は家に帰ってきて掃除を済ます
「…ご飯食べ終わったー?」
「うん」
「準備も…できてるね、行こっか」
「おう」
ここまで育ててくれた人は
不倫をして、私たちを創ったと考えれば
親と思えない
住んでいる場所が一緒でも
血が繋がっていても
太一を双子と思ったことは無い
むしろ、幼馴染と思っているくらい
しかしまあ…よく私らを産んだものだ
「ねえ、太一」
「なに」
「、最近どう?」
「どう…って普通」
「そっか、」
君は、自分のことを話そうとしなくて
少し、寂しかったりもするよ
本当はね、本物の双子がよかったよ
どれだけ、父に似ていても
それは叶わないことだから
それでも、1度でもいいから、あなたのことを
双子として
兄妹として
''お兄ちゃん''
ってよんでみたかったんだ
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作者名:前髪ぱっつん*あきら | 作成日時:2018年4月29日 21時