陽だまりのようなきつね【WT】【反応集】【短編集】 (ページ10)

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きつねさん、ナンパされたら? ページ10

待ち合わせ場所で彼を待っていると...

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「すみません。その子、嫌がってますけど」

いつもより人通りが多い場所での待ち合わせ。
彼の反応を見たいと、張り切って女の子らしいガーリーな服を選んだのが間違いだったのかも。
貼り付けたような笑顔の男性に声をかけられ、私の話はお構い無し。近くのお店にでも、と強引に連れられそうになった時、何処か怒りを含む彼の声が。

「...遅くなってごめん。他は何もされてない?」

頷きながら彼の手を握ると、私の気持ちを掬いとるように優しく頭を撫でてくれて。すぐに話を切りかえて、今日一日の予定を楽しそうに話し出しながら、しっかりと洋服やメイク、ネイルまで似合っていると笑って褒めてくれたり。
男性に向ける据わった目が怖かったのは、ひみつ

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「知り合い?」

背後から聞こえた声に振り向いて『!!ぶるーく』と名前を呼べば、にぱ、っと笑顔を浮かべる。
待ち合わせ場所である駅に着いてスマートフォンを見ていたら、突然話しかけてきた2人の男性。待っているのを同性の友達だと勝手に決めつけられ、否定しても聞く気はないようで。途方に暮れていれば、聞き覚えのあるふわふわとした彼の声が。

「可愛いのは認めるわ、俺もこんな子いたらナンパしちゃうも〜ん」

こんな子、と言いながら、彼よりも少し背の低い私の視線に合わせて屈む彼は優しく微笑む。
しかし怒っていない訳ではないようで、次からは車でお迎えに来てくれるそう。

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「あの、彼女に何か用ですか」

何処か守るように後ろへと私を引き寄せる彼。
デート先、飲み物を買ってくる、と言った彼を待つ間を見計らったように、見るからにチャラそうな男性が近付いてきて。˹俺との方が楽しい˼なんて、今時こんなナンパがあるのかと怯えつつも遊びの誘いを丁重にお断りしていれば、心地よく響く落ち着きのある声が。

「...絶対次からは連れてく、ごめん」

戻ってきた彼自身も、あんなの漫画でしか見た事がない、と。そう言いながら男性の言葉にイラつきを隠そうとはせずに、溜息を漏らしながら呟いて。
格好よかったと笑ってみせると、恥ずかしそうに目を逸らして頬を染める彼が見れたり。