陽だまりのようなきつね【WT】【反応集】【短編集】 (ページ17)

今日:13 hit、昨日:3 hit、合計:28,292 hit

きつねさん、眠れなかったらページ17

糖分過多がちょうどいい?

／

nkm

「.....なに起きてんのー...」

眠たげな彼と一緒に横になったのはいいものの、どうしてか目が冴えてしまっていて。
起こすのも良くないと思い、膝を抱えてソファでぼーっとしていれば背後から声がした。振り向こうとするのを心地良い体温に阻まれ、段々と体重が肩へとかかってくる。ふんわりとした髪の毛から香るシャンプーの匂いが鼻をくすぐった。

「もういなくなんないで」

手を引かれるまま寝室で壁側へと寝転べば、眠そうな声とともに背中へ感じたあたたかさが心を落ち着かせていく。
彼の言葉に頬が緩んでしまうのを抑えつつ、繋がったままの指先を握りなおしゆっくりと夢の中へ。

br

「いっちゃだめだよ」

いくら目を閉じても寝付けず、暗闇から逃げるようにベットから抜け出そうとするのを彼が止めた。
寝惚けているのか、ふにゃりとした口調がどうにも可愛らしくて頬へと手を伸ばす。ちょん、と触れた私の指先を優しく包んで、擦り寄るような仕草をみせるから眠るしかなさそうで。体温を奪っていく彼にぎゅう、っと抱き着いてみれば、嬉しそうにふわふわした笑い声を響かせる。

「...凄いきゅんとしたあ、今の」

明日またしてね、なんて悪戯っぽく微笑んで、私の額へと彼の唇が近付く。視界が彼に覆い尽くされ、胸いっぱいに彼の匂いが広がっていく感覚は甘く眠りを誘って。ゆったりと、夢の中へとおちていく。

shk

「...あそんでないで起こせって」

彼の寝息が聞こえ始めたけれど、私は目を閉じても眠れそうになく。寝返りを打つふりをして、彼に背を向けた。ベットの隅に寝転んでいるぬいぐるみのヒレを持ったり、ふわふわした顔を撫でたりしていれば、視界の端から細くて綺麗な指先が伸びてきて。外気に冷やされた私の掌を掴んで身体の向きを戻される。暗闇の中で、眠そうな表情を浮かべて不機嫌そうな声色でそう零す彼と目が合った。

「話、きくから...こっち向いてて、ほしい」

心地よく耳へと入り込む低音で寂しそうに囁かれれば抗うことも出来ず。しかし、そう口では言っても、はじめから話す暇を与える気はないようで。ほっそりとした首元に仕舞うように抱き寄せながら、「...おやすみ」なんて。
狡いと思っても、安心からか瞼が重くなっていくから。素直にそれを受け入れ夢の中へと。