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ペラペラと何時しか見た様に話し出したアズールは、ピタッと止まる。それから苛立ちを隠そうとしない顔を私の髪の毛に埋めた
｢...冗談はよして下さい｣
『別に誰も見ないじゃない』
｢Aさん。此処は男子校ですよ。｣
『だから入学できなかったもの、知ってる』
｢...貴女の魔法は素晴らしいですからね｣
『ほんと?アズールに褒められたなら本当かな』
｢えぇ...僕が、自信を無くしてしまうほどに｣
『どうして?私のなんて、』
｢あのトライデントを思わせる魔法なんて。
あぁ、本当、羨ましいです｣
『...アズール。』
羨ましいわけが無い。
貴方と対等な立場になんか立てやしないもの。
In exchange for myself.
“自分と引き換えに”
ユニーク魔法、だと知るのは彼と出会った時だった。
真っ暗な蛸壺の中で、ご両親のリストランテへ訪れた私に見向きもしなくて。
覗いて見たら、可愛らしい君が居た。
でも、瞳の奥は今まで見た事もないくらい大人びていて、周りから好奇心旺盛だって言われる私は小さな入口からパッと光を差して見せた
魔法について教えてくれて、夢を与えてくれた
そんな君は否定される存在なんかじゃない。
貴方の方が何倍も努力してて、何倍も傷ついて
何倍も何倍も自分を変えようと辛い思いをして
『どうせなんて言わないで』
｢...だって、僕は、｣
『努力を惜しまなくて、自信に満ち溢れてて、すぐ行動に移せるアズールがとっても好き。』
｢ッ、ん。だ、ダメです。やめましょう｣
『アズールが思い出してくれない時も、私は貴方が好きだよ。ずっと側にいて欲しいくらい』
｢Aさん、ッ｣
『あはは。アズール、そろそろ戻らないと
...私は元気になったよ。貴方のお陰で。』
恥じらいながら沢山のキスを降らしてくる。
そんな顔で展示ブースに戻れるのかな
イデアさん、っていう方に怒られちゃわないの?
今貴方の心は何で埋められているの?
それが全て私だったとしたら、私は───
...
｢おや、貴女は...｣
『御機嫌よう、ナイトイレブンカレッジの学園長様。少し、お話がございます。』
私の中のタイムリミットが迫る夕暮れ
来客者たちは門をくぐり抜け、文化祭は終わりを告げる。
学園長室で異様な雰囲気で窓から外の様子を見る仮面の男性は静かに椅子へ座った
｢そのお話、とは?｣
『...良ければ、私を』
“ この学園に入学させて貰えませんか ”
私の本当の目的を、きっと君は知らない。
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作者名：愛奈 | 作成日時：2021年1月2日 5時
