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誰かと食べるご飯は1週間ぶりくらいだったから、なんだか楽しかった。博士の発明品の話とか、しほお姉さんから聞く探偵団の子の話とか。
片付けを終えたらぼちぼち帰るかという話をしていたところ、星一は自分のポケットの中で携帯が振動していることに気がついた。メールだと一回だけの振動で終わるが、どうやら電話のようだ。慌てて取り出すと画面には安室透と表示されていた。
「……!保護者の人から電話だ。ちょっと出てくるね。」
「ええ。」
博士としほお姉さんに断って、食器を拭くのをやめて一度廊下に出た。そして携帯で応答の緑のマークをタップする。
「………もしもし?」
「あ、星一。……今はまだ博士のお家かい?」
あれ、風見さんに連絡したはずなのにもうお父さんも知っているんだ。星一は伝達が早いなぁと思いつつも「うん。」と答えた。
「あと片付けを手伝ったら送ってもらう予定。おと、安室さんは今日も「迎えに行くよ。」
「え?……でも仕事は?」
「終わらせた。まだ博士にもお世話になっている挨拶に伺えていなかったし、迎えに行くついでに。そう伝えておいてくれるかい?」
「う、うん。」
いきなりすぎる出来事に驚いていると「後15分くらいで着くから。」と言われ、電話は切れた。

扉を開いて台所に戻ると、しほお姉さんに「電話は大丈夫だった?」と尋ねられた。
「うん。大丈夫。……あの、博士。」
「どうかしたかのう?」
「保護者の人が、今日はもう仕事終わったから迎えに来てくれるって。ついでにお世話になってる挨拶もしたいって言ってた。」
「え?気にしなくてもいいのにのう。」
「それなら丁度いいじゃない。星一くんの保護者に一度ガツンと言ってやるチャンスだわ。」
「え?」
博士は大して気にしていないようだったが、しほお姉さんは逆に物騒な事を言い始めた。
「小学生の子供を仕事を理由に放置しているんだもの。しょうがないこととはいえ少しね。」
「でもしほお姉さん、僕気にしてないよ。たまに保護者の人の知り合いの人も様子を見にきてくれるし。毎日楽しいよ。」
お父さんの家で特に不便なことはなかった。食べ物も当たり前に与えられたし、星一の時間だってきちんと持てた。それに痛いことは何もされなかったし、温かい布団で眠ることもできる。お父さんの仕事が落ち着いたときには、ちゃんと星一を大事にしてくれていることはよく分かっている。お父さんが守るべきものの次の次くらいには、大切に思われているはずだ。

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作者名:miya | 作成日時:2023年4月8日 21時

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