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1 〜風見〜 ページ1

最近どこか不機嫌気味だった降谷さん。
風見は自分の部下からもその話を聞いていたし、風見自身も理不尽な八つ当たりを受けたりもした。でもまあ理由はおおよそ見当がつく。
主な原因は二つ。
一つ目に星一くんが夏休みなのにも関わらず、休みを手に入れられないこと。有給どころか普通の休みもだ。
降谷さんなりに星一くんのたった一人の親として、夏休みにしてあげたいこともあったようだ。星一くんは母親の所にいた時は虐待を受けていたわけで、昨年の夏休みは保護された直後でほとんど入院していた。夏休みというものに碌な思い出はないだろう。実際夏休みに入ってからも星一くんは特に出かけず、1日のほとんどを降谷さんのセーフハウスで過ごしている。
上司は夏休みに入る前からそれを察しており、呼び出しがあっても対応できるような近隣の旅行や、遊園地やアミューズメントパークに連れて行ってあげたいと計画していた。
しかし現実は、星一くんが夏休みに入ってから降谷さんはほとんど日にちを跨いでから家に戻っているし、朝も日が昇る頃には登庁している。恐らく寝顔しか見ていない。
それからもう一つの原因はFBIと公安の合同捜査のために、赤井秀一が来日していることだろう。仕方がないこととはいえ、赤井秀一を目の敵にしている降谷さんの機嫌は過去最悪に悪かった。

しかし今日の降谷さんはどこか機嫌がいい。
仕事だってまだ終わりは見えていないし、午後はFBIとの合同捜査だってある。それにも関わらず、鼻歌を歌いそうなくらいには表情が穏やかだった。
「風見。」
「はい、なんでしょうか。」
「会議が始まるまでにこの書類を警視庁の方へ。」
「了解です……降谷さん。」
「なんだ?」
「何か良いことでもありましたか?」
「良いこと?何故だ。」
「いえ、今日は降谷さんどこか嬉しそうですので。」
「………ああ、大したことではない。」
降谷さんは右耳に嵌めていたBluetoothのイヤホンと端末を渡して来た。端末の電源を立ち上げると「がんばってると思ってな。」と降谷さんはポツリとつぶやいた。
イヤフォンからは「新潟……新潟。」と何かを唱える星一くんの声が聞こえて来た。

2 〜風見〜→



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作者名:miya | 作成日時:2023年4月8日 21時

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