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次の日…
私と父親は近所のショッピングモールを訪れた。勿論あの父親の愛車だという恐ろしいスポーツカーで。
「じゃあまず制服から買うか」
「…はーい」
制服屋さんは時期が少し遅いこともあって空いていた。中学校に入学した時は、和臣や若菜とお母さん達で来た。お互いに着替えて見せ合って、ブカブカの制服を笑いあった。でも新しく始まる中学校にドキドキしていた。制服を着て学校に行くのが楽しみだった。母さん達は「大きくなったね」って喜んでいた
「帝丹高校でしたら……こちらのスカートとブレザーですね。ネクタイの締め方は分かりますか?」
「…分かんないです。」
「じゃあ、とりあえずこれだけ着替えてね」
店員さんはそう言うと、ワイシャツとスカート、ブレザーを渡してくれた。ブレザーか、かっこいいなぁ。中学はセーラー服だったから新しいデザインにドキドキした。着替えはすぐに終わってカーテンを開けた。少しだけ開いて顔を出した。
「終わりましたー…」
「……あら、ピッタリですね!どうですか、お父さ…」
店員さんは父親に話を振ったが、すぐに言葉が途切れさせた。静かに父親が泣いてたからだ。決して号泣の様なものではなく、目からツゥーッと涙が落ちていた。
「…あ、泣くつもりはなかったんですが…似合っていると思います。……大きくなったんだな。」
私を優しい目で見つめてそう言った。普通だったら泣かないと思う。けれど13年間全く私の成長を見ることができなかった父親の言葉の重みを感じ私まで泣いてしまった。最後に会ったのが2歳だもんね。小学校と中学校をすっ飛ばして、いきなり高校の制服だ。大きくなったなって思いは人一倍だろう。
「……バカ、当たり前じゃん。これからもどんどん大きくなる予定だよ。」
「…はは、そうだな。」
「でも…ありがとう」


いきなり2人も泣き出して、店員さんを混乱させてしまったかと思いきや、店員さんまで貰い泣きをしていた。変な親子と思われるのも嫌だったので『父子家庭なもので』と父親が慌てて説明すると
「そういうことでしたか!私まで貰い泣きしちゃいました!ステキな親子ですね」
と店員さんに言われた。その一言で、少しずつでも親子になれているのだと思いまた嬉しくなった。
制服は本来二週間くらい待たなければ届かないが、そこまで待つと入学式に間に合わないので在庫にあったものを渡された。

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絵理奈(プロフ) - コナン(新一)、昴さんとか出さないのですか?コナンだと、まさかっ組織の残党!?って思考になって (2019年8月20日 9時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
桜山 もち丸(プロフ) - 明里香さん» ありがとうございます!文を大幅に変えた際に直させていただきました! (2019年5月8日 21時) (レス) id: b371b1aeb6 (このIDを非表示/違反報告)
闇病み(プロフ) - 30ページで泣いた。感動する。降谷さあ''あ''あ''ん頑張ってくださいいいい更新頑張ってください! (2019年5月8日 16時) (レス) id: edc146277d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 3話の最後のページに誤字がありました。「勝っていた犬」ではなく、「飼っていた犬」です。 (2019年4月3日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜山 もち丸 | 作成日時:2018年10月3日 22時

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