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怒られるのかな、殴られるのかな。怖くなって思わず目を閉じた時、聞こえて来たのは意外な言葉だった。
「……ここに奈美………お前のお母さんがいるのか?」
ぎゅっと閉じた目を思わず見開いた。
「え…うん」
「ほら、ちゃんと花買って来たんだろう?添えて手を合わそう」
父親は落ちていた花を拾い私に渡してきた。それをおずおずと受け取った。
私が花を用意している間に、父親はテキパキと水を張ってお線香を焚いてくれた。
そして2人で手を合わせた。
「悪かったな…」
手を合わせ終わって顔を上げた時にそう言われた。
「……何が」
「奈美にもだけどお前にも…父親ぶるんじゃなくて1人の人間として寄り添えばよかった。ずっと一緒にいた母親を失ったばかりなのに何も考えてやれなかった。俺のことだけで必死だった、情けないよ。ごめんな。
ただ仲良くしたかっただけなんだよ」
「別に…」
最初にアパートに来た時や、私にガミガミ言う表情ではなく真剣そのものだった
「…お母さんと出会ったのは大学だったんだ。お母さんと和臣くん達のお母さんと仲が良くて、あと俺の幼馴染も入れていつも一緒にいたんだ。」
「…初耳。お母さん、大学時代のことは全く話してくれなかったから…」
「…はははは、だろうな。多分いつか美桜や和臣くん達がアルバムを見て、俺のことに気づかないように2人とも言わなかったんだろう。この近くにある大学で、よくカフェで勉強したりやんちゃしたりしたんだ。ごく普通の大学生活だったと思う。この話は聞きたかったら今度いくらでも答えてやるから、また聞け。……お母さんとは三年生の夏くらいから付き合ってた。で、大学を卒業する時に俺は警察学校、アイツは就職で進路が別れたんだ」
「……それで?どうしたの?」
「しばらくは付き合ってたんだけど、警察学校を卒業する間近の時に今の部署に所属するかもって知った。危険に晒さないために最後にデートをして別れたんだ。泊まりで温泉地に行った。……多分その時に美桜は出来たんだろう」
「…うん」
「最初はな、知らなかった。お母さんが教えてくれることもなかったし、会わなくなったから。でもお母さんから2年くらいしてから一回連絡が来てその時に美桜がいるって知って風見を介して会ったんだ。こっそりとな」
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絵理奈(プロフ) - コナン(新一)、昴さんとか出さないのですか?コナンだと、まさかっ組織の残党!?って思考になって (2019年8月20日 9時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
桜山 もち丸(プロフ) - 明里香さん» ありがとうございます!文を大幅に変えた際に直させていただきました! (2019年5月8日 21時) (レス) id: b371b1aeb6 (このIDを非表示/違反報告)
闇病み(プロフ) - 30ページで泣いた。感動する。降谷さあ''あ''あ''ん頑張ってくださいいいい更新頑張ってください! (2019年5月8日 16時) (レス) id: edc146277d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 3話の最後のページに誤字がありました。「勝っていた犬」ではなく、「飼っていた犬」です。 (2019年4月3日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜山 もち丸 | 作成日時:2018年10月3日 22時