人生で一回も会ったことのない父親へ【名探偵コナン】

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新しい家に引っ越してきた。とは言っても町内だから新鮮さは特にない。父親は引っ越し初日からバタバタと家具をセットしていた。
引っ越し先は和臣や若菜と同じ階だったから
よかったと思ったことは口には出さず、自分の荷物をちょこまかと設置していた。

父親と会うのはあの訪問しに来た日以来だった。お互い気まずくて会話を特にしなかった。父親には言っていないが、ここには長くても高校の間しか住まない予定なので、前の家で余計なものは全て処分した。本当に必要なものや宝物だけだったからすぐに荷解きは終わってしまった。お母さんにもらったものは全部、一番下の引き出しに入れた。父親に見られるかもしれないと思うと迂闊に外に出すのが嫌だった。写真立てだけは部屋に飾ったけど…
父親も家具こそは頑張って運んでいたが個人の荷物は私と同じくらい少なかった。物を持たない主義の人なのかな…
夜になるとやることが終わったのか
「ご飯、作るけど食べるか？何がいい」
と聞いてきた。
「……いらないです。食欲ないんで」
と即答して部屋に篭った。
「せめて何か食べなさい、体に悪いぞ！」
ノックする音と共にドアの外から聞こえたが無視してベッドに潜った。

3→←1、2の補足

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