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3月、ついに合格発表の日が来た。
結果は見なくても分かっていたので、掲示を見に行くつもりはなかった。だけど「受かったら家探さなあかんやん!」と母に押され、東都に訪れた。
「ほらあるやん。ほな帰ろっか。」
「ホンマ余裕ぶっこいて。我が子ながら嫌やわぁ。」
「あはは……。」
余裕に決まってる。元からA判定だったレベルを更に猛勉強したのだから。これで落ちたら死ぬほど恥ずかしい。
帰ろうとした時、校内放送が流れてきた。

「遠山彩葉さん、校内に居ましたら至急職員室までお越しください。」

母はスピーカーを見上げながら「あんたやん。」と呟いた。
「なんやろな。余裕こいとるで落としました〜とか?」
「ないわ、そんなん!」
私の尊厳のために呼び出された理由を説明すると「首席合格だから入学式で新入生代表挨拶をしろ」との事だった。流石に親も腰抜かしてたし、担任に報告しに行くと持っていた書類の束をバサバサァッと落としていた。琴乃に至っては信じてもくれへんかった。
でもこれでいよいよ大阪から逃げられる。その事が私は嬉しかった。


東都に行く2日前、荷物をまとめていると姉ちゃんが部屋に入って来た。
「なあなあ、明日改方の合格発表やろ?やっぱり緊張する?」
「……ああ、そのことなんやけどな姉ちゃん。私、改方受けとらんよ」
「……え、なんでや?あんた秋には普通に改方行くー!って言うとったやん!」
「せやなぁ、確かに言ったなぁ。」
「どこに行くねん……なんか部屋がえらく片付いてるけど寮にでも入るん?」
「ううん。……東都の高校、かな。一人暮らし。」
「はぁぁぁぁぁ!?……そらびっくり仰天や。よう父ちゃん母ちゃん許してくれたな…」
「説得するの大変やったで。」
「そりゃ誰でもびっくりするわ。道理で冬休みに頑張って勉強しとるわけや。平次には言うたん?」
「言ってへんよ。というかもう明後日にはあっち行かなあかんねん。平次兄ちゃんに会えへんやろうから、姉ちゃん言うといてくれへん?どうせ会うやろ。」
「ええ?それくらい自分で言い?平次も悲しむで。」
「でも明日はクラスの子とか琴乃がお別れ会するって言うてるし、夜も荷造りとかせなあかんから。……堪忍、お姉ちゃん頼むわぁ。」
「うーん……。」
「あかん?」
「……わかった、言うとけばええんやろ?」
姉ちゃんはあまり納得していなかったが、引き受けてくれた。
「堪忍。頼むな」

そして2日後、私は大阪の街から一人で出た。

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作者名:miya | 作成日時:2018年9月23日 9時

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