6〜松田〜 ページ47
「……で、どう思ったか?」
松田と諸伏は帝丹高校の文化祭を見にいった後、松田の自宅で宅飲みをしていた。
「どうって……恋心ではないんじゃないかな。」
「だよな……。」
「でも事前に聞いてたよりかは、何かを意識はしているようにも見えたかな。」
「それなら……チャンスは十分にあるよな。」
「松田次第だね。」
警視庁で一緒に行く約束をしたあの日、松田は諸伏にあるお願いをしていた。同期の皆にはすでに、松田が彼女に一目惚れしたことは知られている。直接聞いたわけではない諸伏も、降谷から聞いたことだろう。自分達の間に精々秘密があるとすれば、諸伏と降谷の仕事関連くらいだ。
「自分の目で見るとよく分からないから、彩葉が俺の事をどう思っていそうか見ていて欲しい。」
松田はそう諸伏に頼んだ。
班長はやれやれといったようなため息、萩原はゲラゲラと大笑いしていた。萩原にとっては恋愛の経験が豊富でも、松田はほぼなかった。恋愛に鈍いところがあるのは間違いないし、同期の意見が欲しい。切実な思いだった。
「お前にさ、ご褒美で頭ポンポンしてる時。お前も小っ恥ずかしそうだったけれど、あの子も途中で少し恥ずかしそうな、ぎこちなさがあった気がする。何か緊張することがあったのは確かだろう?」
「まぁ。……女子高生って言うのは何でもときめくからわかんねぇな。彩葉の友達もそんな感じだったし。」
「後藤さんも確かに見てたけど、遠山さんのとは違うんじゃないかな。……松田、同期として念のため確認するが未成年に手を出すつもりは。「ねえよ。」
「たとえ思いが通じたとしても。あいつが成人……いや、せめて高校を卒業するまではな。付き合っても手はださねぇ。」
「それならいいけど。」
「あぁ!恋って難しいんだな、この野郎。」
「……お前、そういえばあの子はどうなったんだ。捜査一課の佐藤さん、だったか。俺の中ではそこで止まってるんだが。」
「佐藤?佐藤は……まぁ確かに4年前はそういう対象で見ていたが、今は違うな。あいつも高木がいる訳だし。」
「……四年前はお前いろいろ大変だったなぁ。」
「2度とごめんだ、あんなのは。」
「……俺たちもだな。……まぁ、遠山さんのことに関しては。時間が必要なんじゃないか?お前がどれだけ思っても、前に好きだったやつの事を吹っ切れるかがな。……松田?お前、また1缶開けてんのか。」
「うるせぇ、今日は付き合え。」
「……仕方がないな。今日だけだぞ。」
男たちの長い晩酌はまだ続く。
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作者名:miya | 作成日時:2018年9月23日 9時