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ついに文化祭当日がやってきた。陣平くんは昼ぐらいに友達と来るらしい。誰と来るかは結局教えてくれなかった。きっと萩原さんだろう。
朝、クラスに用意された更衣室でひまりに着付けてもらってた時に「知り合い誰か来る?」と尋ねられた。
「んー……。仲良くしてもろてるお兄さんかな。誘ったら友達と行くって。」
「たまに話してくれるじんぺいくんって人?」
「そうそう、ひまりは誰か誘ったの?」
「誘ってもないけど父親が来るってさ。……はぁ、やだな。一般公開されてるって知って張り切っちゃってさ。」
「まぁええやん。お父さん来たら教えてや。接客代わるし遊んできたら。」
「絶対嫌!私朝家出る時にきてもいいけど他人のふりしてって頼んできたし。彩葉の家みたいにシャキッとしたお父さんじゃないもーん。……はい、着付け終わり。可愛い〜!」
「ありがと、ひまり。」
「さ、早く行こう。先の当番の人と交代しないと。」
うちのクラスは縁日なので、備品が壊れた時に直すために順番に当番を回している。ちなみに私はひまりと昼前まで当たっている。1番お客さんが集中する時間だと思っていたが、案外空いていた。お客さんがいない時間は遊んでいいということだったのでひまりと射的で勝負していた。意外と難しい。
おかしい、父ちゃんの子だから得意かと思ってたけど射撃術は壊滅的だったみたいだ。ひまりの方がうまい。今度こそ上手く当てようと的を狙ったその時、「ファイトー。」と聞き覚えのある声がした。
「陣平くん、いらっしゃい。早かったね。」
「まぁ非番だからな。ここで合ってたか?」
「うん、あ、どうぞ入って。隣の方も。」
「邪魔するぜ。」
「お邪魔しまーす。わぁ、高校の教室ってこんな感じだったよなぁ。」
「もう撃たねーの?」
「撃たないよ、お客さんがいるときはね。……陣平くん、一緒に来た人は?」
「ああ、会ったことねーもんな。こいつ、諸伏。ゴリラの母ちゃん。」
「あ、景光さんだ!」
「あたり!……おい、松田どんな教え方したんだ。」
「まあ、分かりやすいだろう。お前の横の奴は?」
「友達のひまりだよ。」
「後藤ひまりです、いつも彩葉にはお世話になってます!」
「あー、よろしく。」
「陣平くん、景光さんなんかやる?射的とか輪投げとかあるよ。あとはー……スーパーボールすくい。」
「えー……じゃあ。」
「「射的だろ/な。」」
「松田、久しぶりの勝負だな。」
「……ぜってぇ負けねー。」
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作者名:miya | 作成日時:2018年9月23日 9時