6.文化祭 ページ41
9月の終わり。
高校は迫り来る一大イベントに皆色めき立っていた。何が待っているって?
——それは文化祭だ。高校生っぽいイベント。もしかしたら恋愛ハプニングが起きるかもしれないとか、友達と回るのが楽しみとかそんな話題で尽きない。
姉ちゃん達が通う改方学園の文化祭には、中学2年生の頃琴乃と一緒に行った。当時志望校だったこともあって、接客してくれる高校生やパフォーマンスする高校生達がすごくキラキラして見えた。それに憧れるというか。
やっぱり高校生だしたこ焼きとか売ってみたい気もする。ベビーカステラでもいい。
一年生は皆彩葉同様期待を膨らませていたが、その期待はホームルームの谷センの発言により打ち砕かれた。
「「なんでですか!?」」
「質問の内容は文化祭で飲食店がやれない理由。だったよな?今年から食中毒防止のために帝丹高校全体で禁止!よって飲食店の出店はなし。」
「うっそだぁ。」
「杯戸高校はあるのに!」
「つまらーん……。」
「つまらなくてもこれは規則なんだ。他にも楽しい事は沢山あるぜぇ。」
彩葉は隣の席のひまりにそっと耳打ちした。
「ドラマとかでは全然あるのにな、姉ちゃんの学校もやってたで。」
「はい遠山と後藤、私語しない。」
「みんなしてるやないですか。」
「よそはよそ、うちはうちなの。遠山、そもそも考えてみろ。半年近く高校生活過ごしてドラマに近い青春、あったか?」
「……ないです。」
「そういうことだ!ま、他の楽しい出し物を考えよう!できれば俺が楽なやつ!」
「それは嫌だ!」
「みんな、谷センを困らせる出店しよーぜ!」
「げ、めんどくさいのだけはマジやめてくれな。それなら今日は解散。気をつけて帰れよ。」
谷センはそう言い残すと職員室にさっさと戻ってしまった。残された生徒は教室に残って各々文化祭について話している。
「ひまり、もう帰る?」
「んーん。今日は部活。谷センの言う様に高校ってドラマっぽい青春なにもないよね。」
「入学式でイケメンと出会って。帰りに原宿行って放課後クレープとか。彼氏とイチャイチャ屋上でお弁当とか。全然なかったわ。」
「それな。あー、そんな青春送りたかったー!」
「ほんまにな。でも飲食店じゃなくても楽しいかもしれへんよ。」
「それもそうだね。うちのクラスなにやるんかなぁ。」
文化祭か。一般公開してるみたいだし、陣平くんでも誘ってみようか。流石に父ちゃん母ちゃんは遠すぎるし。
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作者名:miya | 作成日時:2018年9月23日 9時