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ひまりとは東都駅で別れた。
ひまりは「親が迎えに来てるから彩葉も乗ってく?」と言ってくれたが断った。1人になりたかった。

東都駅を一周ほど歩いたが、結局1人で何してるんやろと虚しくなり米花駅に向かう電車に乗り込んだ。
早く家に帰ろう、早くいつもの日常に戻ろう。そしてあの大阪での5日間はさっさと忘れよう。今にでも溢れそうな涙を堪えて足を早めた時、後ろから「彩葉?」と呼び止められた。振り向くとそこにはいつもと変わらずサングラスをかけた天然パーマが特徴の——陣平くんがいた。
「大阪帰ってたんだっけか。どうだ、楽しかったか?」
変わらず、そして優しい陣平くんの全てが今は身に染みる。我慢してた涙が、ダムが決壊したかのようにボロボロと溢れて来た。うるんで見える視界の先では、松田くんが慌てているのがよく分かった。
「…は!?おまえ、え?ちょ」
「目暮警部ー!松田くんが、通りすがりの女の子を泣かせましたー!」
「佐藤、ちょ、黙れ!おい、彩葉。お前一回こっちに来い!」
そう言うと私の手を引いて、人気のない方に連れて行ってくれた。
「ほら、もう誰も見てねぇから。涙が止まるまで泣け。オメーがスッキリするまで。
その言葉で歯止めが効かなくなった。子供みたいに声を上げて泣いた。
ボロボロこぼれて止まることを知らない涙を何回も手で拭う。泣きやまない私の頭を陣平くんはポンポンしてくれた。その手の暖かさで余計に涙は止まらなくなってしまい、何十分も泣いてしまった。

大分落ち着いてから陣平くんは仕事の途中だったことに気がついた。
「……堪忍。仕事中やったのに、迷惑かけてしもた。」
「いや、もう終わりかけだったから大丈夫だ。気にすんな……何があったか知らねーけど、辛いことがあったら俺でもいいから相談しろよ。信頼できる友達でもいい。今は無理には聞かねえけと。お前が言いたくなったらいつでも言えば言え。な?」
「……うん、ありがとう。」
「さ、遅くなると危ねーし送っていく。」
「え!?いい、いい。もうここまでで十分。もうすぐやし歩いて帰るよ!」
「さっきまでビイビイ泣いてたお子ちゃまは黙ってろ。ほら、一緒に歩くぞ」

陣平くん、ありがとう。
陣平くんのおかげでほんのちょっとだけスッキリした。辛かった気持ちが、暖かくなった気がした。

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作者名:miya | 作成日時:2018年9月23日 9時

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