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その時玄関の方から「母ちゃん、平次来たで〜。」と姉ちゃんの声がした。姉ちゃんが入れたのだろう、平次兄ちゃんはリビングにやってくると「彩葉〜!」と声をかけてきた。
「久しぶりやな。ちょっと大人っぽくなったんやないか?」
「平次君、ありがとう。ほんなら仕事行って来るわ。」
「はーい、任せてください。」
「あ、父ちゃん行ってらっしゃーい。」
「ああ、みんなも気ぃつけてな。」
父ちゃんのばか!なんで会いたくもない平次くんをわざわざ連れてきたのか。不満たらたらな彩葉に気がついてか、母ちゃんは「和葉も行って来いや。」と提案した。
「もっとなんで!」
「あんた達2人と平次君じゃ、ひまりちゃんが気まずいやろう。」
「……まぁ、そうかも。」
「お姉さん、一緒に行きましょ!美味しいたこ焼き屋さん教えてください!」
「任せてや。ほんなら行こか!」
嘘やん。失恋してから平次兄ちゃんとは会話さえしていないのに。気まずすぎる!

まずは大阪城に行ってから、道頓堀でたこ焼きを食べる事になった。
「んー、美味しいです!やっぱ本場の味は違いますね!」
「せやろ!大阪の粉もんはピカイチやさかい。俺らおすすめの店や。ひまりちゃんも彩葉ももっと食べ!」
「はーい!」
ここまでひまりにべったりくっつくことで、どうにか乗り切った。ひまりには「なになに、今日甘ちゃんじゃーん。可愛い!」と言われたがこの際気にしない。平次兄ちゃんと2人きりになる方が嫌だ。
「このあとどこか行きたいとこあるか?」
「うーんと……グリコと。あとお土産買いたいんです!家族や友達に。」
「ほんなら和葉、先にひまりちゃん連れてってや。ちょっと俺、彩葉に話あんねん。」
「え。」
「ええで、ほんなら食べたら行こか。ひまりちゃん。」
「は、はーい。」
やめて、絶対いや。ダメ絶対!こんなの死亡フラグ以外の何でもない。
「ア、ウチモシリアイノオニイサンニオミヤゲカワナアカンネン。」
「後でもいけるで大丈夫やって。ほんなら頼むな、和葉。」
たこ焼き屋さんを出た後、ひまりとお姉ちゃんはお土産さん。私と平次兄ちゃんは戎橋に向かった。気まずくて目線が下に落ちるのが自分でもわかる。

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作者名:miya | 作成日時:2018年9月23日 9時

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