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結局3時間目になってしまった。
朝、勇気を出して隣の子に挨拶しようと思ったんやけど、タイミングが掴めず。ここまで無言を貫いている。
授業で自己紹介くらいやると踏んでいたが、まさかの明後日のホームルームでやると担任が宣言。もしかしたらそこまで誰とも友達になれないかもしれない。現代文の文章を読みながら泣きそうになったその時。
「はい、今日はここまで。」
まだ授業が30分も残っているのに、教科担任の先生がいきなり切り上げた。クラスメイトは教科書から顔を上げてざわめき始めた。
「入学していきなりフルで授業はきついでしょう?残り時間はお互いのことを知る時間にします!」
先生のその言葉に歓喜の声が上がる。
「じゃあまずは隣同士!」
いきなりチャンスが舞い込んで来た。
「遠山さん?私から言ってもいい?」
隣の子が話しかけて来た。
「うん。」
「米花中出身、後藤ひまりです。名前は平仮名ね。好きな食べ物はラーメンと和食。これからよろしくね。じゃあ、次は遠山さん!」
「えーっと……遠山彩葉です。喋ってるん聞いたら分かるやろうけど出身は大阪。だから大阪の中学校から来ました。ぜ、ぜひよろしくお願いします。」
「めっちゃ敬語。てか可愛い!よろしくね!」
「う、うん。後藤さん「ひまりでいいよ。」
「私のことも彩葉って呼んで?」
「彩葉!うん、いい名前だね。それで何か言いかけてたけどなんだった?」
「……え、ああ!ひまりも元気で可愛いよって……。」
「え、照れる!よく煩いって言われるけど、あはは。彩葉は新入生代表挨拶もしてたから、きっと頭も良いんだよね。関西弁だったから始め驚いたけど、隣の席でぜひ仲良くしたかったの!」
「え、ありがとう。……私もラーメン好きやから今度ひまりお勧めのラーメン屋教えて欲しいな。」
「うん、ぜひ!ラーメンの事ならいくらでも語れるよ。」
よかった……。仲良くなれた。松田さんの言う通りだった。勇気を出してよかったと思った。
ひまりともすっかり仲良くなって、他の人とも喋れるようになった。めっちゃ楽しい。ちょっと打ち解けた頃に「喋ってみたかったけど、頭も良さそうだったから話しかけづらかった。」と5人ほどの子に言われた。
「話してみたら、めっちゃ話しやすかった。」
「だよね。」
「彩葉はとってもフレンドリーなんだよ!」
「それはひまりちゃんの方だよ。」
「間違いないわ。」
まだぎこちないところはあるけれど、きっとすぐに仲良くなれる。そう確信していた。
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作者名:miya | 作成日時:2018年9月23日 9時