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第113話 ページ34

『うるさい』


凛とした声。
胡蝶よりも低く、それでも俺や伊黒よりも高い声。
その声は俺の目の前からした。


『お前はいちいち叫ばないと駄目なのか、不死川』
実「……なんで」


生きてんだ、此奴。


『簡単に殺されるわけないだろ、お前に死んだらぶっ飛ばすと言われたんだ。それに、私の家がどんな家か忘れたのか?』


尼宮が?


伊黒「なるほど、血液操作か」


伊黒の言葉でハッとする。
血液を刀に変形出来るなら。


実「それで傷口塞いだのか」
『理解が早くて助かる。………が、さすがに流れ出た血液は対象外だから、体に戻すのは無理………だ、けど、な……』


立ち上がるも足元をふらつかせた尼宮を抱きとめる。


『…すまない…』
伊黒「不死川、尼宮を頼んだ。俺は胡蝶を呼んでくる」
実「ああ」


俺は腕の中に収まる尼宮を強く抱きしめた。


『なんだ、痛いぞ』


ここにいる、ちゃんといる…。


実「…生きてんだな…」
『当たり前だ。ところで不死川』
実「なんだ」
『私に言いたいこととはなんだ』


思い出して固まる。
そうだ、言わなきゃなんねぇ事があんだった。
どうする?言うか?いや、言うと決めたなら言え。


実「……お前について考えてた。………前、言ったよな。人の心がなくて、鬼より冷徹で、愛想もねぇ、そのくせ寂しい顔してムカつくってよ」
『言われたな』
実「でもそりゃ、ムカつくんじゃねぇ……頼られねぇことが悔しかったんだ…」


尼宮の肩が少し動く。


実「俺はお前に頼ってほしかった。……"助けて"って、言ってほしかった……お前の助けに少しでも、なりたかった……」
『……………そう、か……』
実「……………お前は……なんかねぇのかよ」


恥ずかしくなって話を振る。


『……私は………私は最近、変なんだ』


俺に力なく寄りかかる尼宮。


『お前といるとフワフワと暖かくなったり、苦しくなったり…心がモヤモヤする時もある。でもそれも全て、嫌ではないと思っている私がいる。そしてそれをお前は知っていると言った。私はそれを知りたい…』
実「そうかよ。でもよ、前にも言ったろ」
『そう、だったな。胡蝶にも…同じ事を、言われた。だから、自分で知るさ…。それまで、お前のそばにいていいか…』
実「構わねぇよ、俺は」
『そうか……ありがとう……』


そう言って安心したのか、尼宮は眠りについた。
俺はそんな尼宮の瞼にそっと口付けをした。

第114話(アニメ勢ネタバレあり)→←第112話



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設定タグ:夢小説 , 鬼滅の刃 , 不死川実弥   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:あるま。 | 作成日時:2022年3月10日 11時

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