夢をならべて (桃) (ページ31)

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31話ページ31

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望の、ジャニーズWESTのデビューが決まったあの頃、私たちの交際は順調だった。

デビューしてからもしばらく付き合い続けていた私たちだけど、当たり前に会える回数は極端に減っていた。

けれどそこに気持ちのすれ違いが起きることは全くなく、その点に関しては一切問題はなかった。

だけど、私がジャニーズ事務所で働き始めて、もしも付き合っていることがバレたら。

私が辞めさせられるだけなら良い。

だけど望はきっとそれに反発する。

反発するし、最悪の場合グループを辞めると言い出す可能性もある。

そうなってしまうのは絶対に避けたかった。

私を切り捨てる、なんてそんなことができる人じゃない。

苦労してきたところを一番近くで見てきたつもりだ。

今まで一生懸命やってきて、やっとデビューできたんだから。

だから、私から別れを告げた。

「他に好きな人ができた」と嘘をついて。

なんで、と食い下がってきた望だったけど、しばらくしてから納得してくれて。

友達に戻ろう、という話になった。

他に好きな人なんてできていない。
できるわけなんてない。

私に罪悪感を持ち続けている望なら、私のことをずっと縛り付けてはおけない、と了承してくれることはわかっていた。

私は卑怯だった。

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