28話 ページ28
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side 桐山
ドーム公演初日。
昨日の話を聞いた俺たちは、全員Aちゃんの左手を見てしまった。
「どうかしました？何かついてます？」
自分の左手を見ているAちゃん。
俺にわかったのは、その左手の小指が 動いてへんっていうこと。
桐山「糸くず、でっかいのついてたわ！せやけどもう取れたで」
我ながらめちゃくちゃわかりやすい嘘。
だけどAちゃんは納得してくれたみたい。
そして
重岡「…須藤、この前はありがとう。
俺、お前のこと俺らの足枷にしかならへんと思ってた。せやけどちゃんと仲間思いで仕事に対しても一生懸命なんや、って気づいたわ。
…ごめんな、今まで」
しげ、素直に言えたやん。
桐山「はは、Aちゃんめっちゃ戸惑ってるやん」
しげの頭をポンと撫でる。
ちゃんと言えて偉かったな。
「…私、認めてもらえた？」
望の方を見てそう言ったAちゃん。
小瀧「そういうことなんちゃう？」
望も嬉しそう。
小瀧「改めて、チームジャニーズWESTの仲間入りやね」
その言葉ににこにこと笑い、俺らのことを見渡しているAちゃんの左手の小指をそっと握った望は 切なそうに笑った。
きっと彼女の小指の感覚はないのだろう。
その証拠に Aちゃんは望に握られたことに気がついていなかった。
たぶん、メンバーみんなそれを見ていた。
切なそうな顔をする望と同じくらい、それを見て険しい顔をしていたのはしげだった。
中間「今度、飯でも行く？綾瀬さんも含めてさ」
桐山「おーいいやん！そうしよ」
神山「ほんならまずはドーム成功させなあかんな」
藤井「Aちゃん、今日もよろしく」
「はい！よろしくお願いします！」
Aちゃんが笑顔でいてくれることが嬉しい。
気にしてへん、言うてたけどそりゃ人間やもんな。
しげに嫌われてること、気にしてたんやろな。
この前までの笑顔とは全然違う、とびきりの笑顔を見せてくれた気がした。
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作者名：ひのりーる
| 作成日時：2020年7月26日 20時
