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20話 ページ20
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小瀧「…なあ」
「ん？」
小瀧「一回だけでいいからさ、わがまま、聞いてくれへん…？」
小さな声で呟く望。
小瀧「抱きしめて、ほしい」
大きな身体してるくせに。
いつもでかい声響かせてるくせに。
「声ちっさ」
思わず笑ってしまって。
小瀧「…笑うなや。わりと勇気出して言うたんやで」
ええよもう、なんてそっぽを向いてしまった望に向かって手を広げた。
「一回だけ、特別やで」
パァッと効果音がつきそうなくらいに笑顔を見せてくれた望が 勢いよく飛び込んできて。
「うわ…っ」
耳元でグスッと聞こえたと思ったら
小瀧「ん゛んん、ほんまに嬉じい゛…っ」
もう大泣き。
「…散々メンバーの前でも泣いたんちゃうの、望のことやし」
小瀧「…っ、なんで、そんなんもバレてんねん…っ」
ズビズビと私の耳元で鼻を鳴らしながら泣き続けているから。
「はは、泣き虫は治らんなあ」
トントンと背中を叩く。
この背中はだいぶ大きくなったというのに。
「明日から、泣かんで頑張ってや」
小瀧「多分無理ぃぃ…」
子供みたいに泣きじゃくる望を慰めながら
『どうかドームツアーが無事に成功しますように』
そう願った。
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作者名：ひのりーる
| 作成日時：2020年7月26日 20時
