【本編小説】浮世忌憚

序章 ページ1

夢を見るんだ。

自分に、責められる夢を。

｢お前さえ居なければ｣と恨めしそうに囁かれる。
｢もう俺は引き返せない｣と涙ながらに零される。


…そうして俺は目が覚めるのだ。


心当たりなんて無いのに夢から覚めたあとは酷く悲しい気持ちになって、不思議と”嫌な予感”が全身を駆け巡った。


これから何かが起こるのだろうか？
俺の所為で、何か…不吉な事を引き起こしてしまうのだろうか？


なんて事を考えては、｢平凡な俺にはそんな事出来ないだろう｣という考えに落ち着く。



良くも悪くも、俺は平凡だ。



きっと、これからも変わる事は無いしそうでありたいと俺は思う。
人々の影に隠れて生きていく。それがお似合いだ。




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眩い陽の光で目を覚ます。

どうやら教室で眠ってしまっていたようで、当然クラスメイトもそこには居なかった。



｢…俺も、帰らなきゃ｣


自身の呟きに返事は当然来ない。


窓から差し込む、やけに赤い空だけがそんな俺を見ていた。


───────これから起きる波乱の出来事に警鐘を鳴らしているかのような、真赤の空が。

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