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骸side
確か、彼女の話によれば、特別に復讐者の牢獄から出してもらうかわりにいくつかの条件があり、そのひとつに「外出禁止」というものがあったような……
「そんなのばれなきゃいいんですよー。ばれなかったら罪じゃないですー」
「それつまり完全にアウトじゃないですか」
「でもそうだなー。ひとりくらい留守番させてもいいかなー。例えばそこのナッ「わかりましたから！ 買い物に行けばいいんですね！？」
……よくないとは思うが、留守番は嫌だ。
A達だけで買い物に行かせたら、僕のため、という名目で変な物を買われる可能性がある。
例えば……パイナップル柄の物とか……。
全く！ 僕の頭は果実ではないと、あれほど言っているのに……
「ならいいんですー。そんじゃあ、行きましょー！！」
……と、いうわけで。
並盛デパートでは雲雀恭弥に見つかるからと、わざわざ隣町のデパートまで来たのだが……
犬のわがままのせいで(お菓子欲しい)全く進まない。
ハァ……復讐者にばれる前にさっさと買い物を終わらせたいのに……
「犬」
「ん？ なんれすか、骸さん！」
犬は先程までAといがみ合っていたのが嘘のように素直な態度で骸の方へ振り向いた。
そして、その態度の変わりように、ちっ、と小さく舌打ちするA。
「……お小遣いをあげますから、そこのお菓子屋でチョコを買って来てください。余ったお金で好きなお菓子を買っていいですよ」
「！！ はい！ ……やったびょん！！ やっぱり骸さんはAとは違って優しいびょん！！」
パアっと顔を輝かせる犬。
「……単純……」
と、ボソッと呟いた千種の声は聞こえていないようだ。
「……まあいいですよー。あ、千種ー、犬のお守りをお願いしてもいいですかー？」
「……わかった……」
いつも通り言葉に皮肉をこめながらも、案外あっさり引き下がったAに少し拍子抜けした。
さっき舌打ちしていたから許可しないのかと思ったが……
「さ、骸、行きましょーかー」
お守り、という言葉に反応し、またきゃんきゃんと騒ぎ始めた犬を千種が引きずるようにして連れていく様子を完全にスルーしてそう言うA。
「……そうですね」
あきれながらもそう返事した。
そもそも犬がいるといつまでたっても進まないからお菓子を買いに行かせたのだが……
千種も保護者としてついていってしまい、この状況で、Aと二人っきりって……
……いわゆる、デートなのでは？
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作者名：夢うさぎ | 作成日時：2019年5月3日 19時
