【wrwrd】無表情な彼女の戦闘物語6【あかがみん】【日常組】【pkt】【^ら^】 (ページ27)

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第272話ページ27

「恐らく、魔力上限の底上げによって･･･
　普段の感覚で魔法を使うと、威力が倍になってるんだと思います･･･。
　ね･･･？ゴーレムさん･･･。」
Aが首を傾げてゴーレムに訊ねると、ゴーレムは何度か頷いた。
「えー･･･ここまで意志持たれてると、魔法当てれない･･･。」
クロノアが困った様にそう呟くと、ゴーレムは身の危険を感じたのかビクついて、Aの後ろに隠れた。
「ご、ごめんっ、大丈夫だからっ。ね？」
クロノアが謝ると、ゴーレムはAの後ろからチラッとクロノアを見る。
「ゴーレムさん･･･。
　込められた魔力がなくなるまで、一緒に見てよう･･･？」
Aがそう訊ねると、ゴーレムは少し動きが止まっていたが、小さく頷いた。

「うーん。
　普段より威力抑えて魔法使った方がいいのかな･･･？」
「そうですね･･･。」
「よしっ。」
クロノアは気を取り直して、普段よりも弱めに魔法を使う。
すると今度は、ただ立っているだけのゴーレムが現れた。
「よしっ、出来た。」
「･･･流石Sランクの方ですね･･･魔力量の調整が完璧･･･。」
「Aさんならすぐに出来るよ。」
動かないゴーレムを見ながら言うAに、クロノアは微笑んでそう言った。
「意志持ってるゴーレム見ちゃうと、壊すの忍びないけど･･･。」
そう言いながら、クロノアは２体目のゴーレムに片手を向ける。

　パキィンッ！！

　クロノアの片手から放たれた冷気から、２体目のゴーレムが氷塊に包まれる。
氷塊に包まれたゴーレムは、氷塊が砕けるのと共に崩れ去った。
「＿お、いつも通りの状態まで戻ったかも？
　や、魔力上限が上がってるからいつも通りでもないんだけど。」
クロノアは冷気を放つ手をフラフラと振りながら、溶けていく氷塊を見てそう言った。
「そうですね･･･感覚的には元に戻ってると思います･･･。
　ただ、いつもより威力は出ると思ってください･･･。」
「一時的なバフだと思えばいいんだね。」
「バフ･･･？」
クロノアの言葉の意味が分からなかったのか、Aは首を傾げる。
「(･･･“バフ”分からないか･･･それだけの環境に･･･)
　良い効果って事だよ。悪い効果はデバフね。」
「成程･･･。」
Aはクロノアの言葉を覚える様に、何度か呟いた。
「(･･･まだ続く階級制度･･･なくしたいな。仲間と、他グループと･･･)」
クロノアは呟いているAを見ながら考え、ソッと目を閉じた。