第189話 ページ44
「て、手当てを･･･！」
エーミールは革袋を受け取ってから、Aに慌ててそう言う。
「手当て、より･･･この子達を、どうにかしましょう･･･」
Aはそう言って、傍を舞っている1頭の蝶に指先を差し出す。
「っ駄目です！！」
エーミールは真剣な表情で、Aの手を手袋越しに掴む。
Aは手袋越しに握られた自分の手を見て、エーミールに視線を移す。
「この蝶が･･･どんな状態なのか、分かっているでしょう･･･！？」
「･･･少しでも自分で毒を抜こうと･･･"オーラを込めてますよね"･･･。」
「それが分かっていながら何故･･･！！」
「･･･この子達が、報われませんよ･･･。」
「！あっ･･･！！」
エーミールがAの目を真っ直ぐ見ていた隙に、一頭の蝶がAの指先に留まり、赤黒い光の欠片となって風と共に消えて行った。
腕まで来ていたAを蝕むオーラは、肩のすぐ下まで上がっていった。
「Aさん･･･！無茶しないでくださいっ！
私でさえ苦痛に耐えられなかったんですよ･･･！？それを何故ため込むんですか！」
「･･･この子達だって･･･本当は、もっとエーミールさんと･･･いたかったと、思うんです･･･。」
「そ、れは･･･」
『魔力の塊･･･でも生物に変わりはない･･･ふふっ、面白いですねっ。
これからよろしくお願いしますね･･･皆で、仲間を助けていきましょうかっ。』
「･･･ほら･･･悲しい顔、するじゃないですか･･･。」
力のないAの声に言われて、エーミールはグッと口を噤む。
「ですが、仲間が傷つくくらいなら、消しますよ。」
エーミールが真剣な表情でAの目を見ると、他の浮いていた赤黒い蝶は先程の蝶の後を追う様に、赤黒い光の欠片になって消えて行った。
「･･･エーミール、さん･･･。」
欠片が消えるまで見ていたAは、エーミールに顔を向ける。
「解呪方法、教えてください。その後は我々にお任せください。」
「･･･聖水、と･･･貴族が、持てる･･･解呪薬、を･･･」
ぐらっ
「！Aさん！！」
Aは言い終わると、糸が切れたかの様に身体が倒れる。
エーミールは慌ててAの背中に手をやって、オーラに触れない様に支えた。
「(やっぱり身体への負担が大きかったんだ･･･！)」
「う"･･･」
Aはオーラがまとわりつく片腕が痛むのか、目を閉じたまま顔を顰めて、ぶら下げているその腕の方へ顔を向けている。
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眼目夢子(プロフ) - 匿名さん» ご報告ありがとうございます！修正致しました！ (2021年11月18日 12時) (
レス) id: cd5f0ffb10 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 第173話、下から6行目「そんなことはないと思いますけ……」になっています (2021年11月18日 12時) (レス) @page28 id: c1f3a10c7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：眼目夢子 | 作成日時：2021年10月21日 0時
