第169話 ページ24
「おや、髪乾かしてないのでは？」
「エミさん。」
「エーミールさん･･･。」
アイスを食べているAとそれを眺めている兄さんの所へ、エーミールが来た。
「あんまりに嬉しそうに食べるから、髪の事気にしてへんかったわ。」
「Aさん風邪引きますよ？」
エーミールがそう言うと、Aの髪に片手の掌をかざす。
するとすぐにAの髪だけが温風に包まれて、Aの髪は乾いてふわっと舞う様に下りていった。
「ありがとうございます、エーミールさん･･･。」
「いえ。風邪を引いて辛いのはAさんですからね。」
エーミールは微笑んで、Aの向かい側に座った。
「エミさんもアイス食べる？先に。」
「いえ。私も入浴後に食べます。･･･美味しそうに食べる方がいるので。」
エーミールは兄さんにそう答えてから、チョコスプレーがかかったバニラアイスを食べるAを見た。
「･･･？」
Aは自分が見られている事に気づいて、首を傾げてエーミールと兄さんを見た。
「ふふふっ、何でもないですよ。今日はお疲れでしょうし、早めに寝てくださいね。」
「せやな。後でスーツかけてない奴おるやろうから、声かけておかんと･･･。」
兄さんは困った様に笑いながら、そう呟いて飲み物を飲んだ。
「･･･今日･･･楽しかったです･･･。」
アイスを食べながら言うAに、兄さんとエーミールはAを見つめる。
「初めは、ドレスも頂いたので頑張るしかないと、思ってたんですけど･･･
でも、ゾムさんがエスコートしてくれたり･･･鬱さんやオスマンさんが褒めてくれたり･･･
ソーラさん達と、お話が出来たので･･･とっても、楽しかったです･･･。」
そう言ったAは、幸せそうに微笑んでいた。
「･･･これからもっと楽しい事がいっぱいあるで。」
兄さんは優しい声でそう言って、隣でAの頭を撫でる。
「そうですね。まだ季節は春･･･あと3回も季節が変わる中で、沢山の行事が待ってますよ。」
エーミールもそう言って、Aに優しく微笑みかけた。
「･･･えへへ･･･。」
「「！！」」
Aは、とても幸せそうに笑った。
少し困った様に下がった眉だが、それでも幸せだと思っている事が伝わる。
「(これゾムいなくて良かった･･･)」
「(後から拗ねられてもアレなので、黙っておきましょうね兄さん･･･)」
またアイスを食べ始めたAを見ながら、兄さんとエーミールは互いにアイコンタクトをとっていた。
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眼目夢子(プロフ) - 匿名さん» ご報告ありがとうございます！修正致しました！ (2021年11月18日 12時) (
レス) id: cd5f0ffb10 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 第173話、下から6行目「そんなことはないと思いますけ……」になっています (2021年11月18日 12時) (レス) @page28 id: c1f3a10c7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：眼目夢子 | 作成日時：2021年10月21日 0時
