【wrwrd】無表情な彼女の戦闘物語3【あかがみん】【日常組】【pkt】【^ら^】 (ページ22)

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第117話ページ22

「うううう･･･」
さほど背丈の変わらぬロボロに髪を拭かれ、タオルの触り心地がよいからか、Aは少し気持ちよさそうな声を出す。
「っふはっ。なんちゅー声出しとるん？気持ちええん？」
「ふぁい･･･」
Aが目を細めながら答えるので、ロボロは少し照れながらくすくすと笑った。
「鞄貸して、Aちゃん。･･･あーあ、びしょ濡れやん。」
Aから鞄をするりと取った鬱は、眉をひそめてそう言う。
「そうだ、乾かさないと･･･」
「先に自分やろー。」
「うああう･･･」
「っははっ！」
ロボロに再度髪を拭かれて、Aは何も出来なくなる。

「そのままやと授業受けられんやろ？先生には言うとくから乾かしに行こうな。」
「で、も･･･。」
「『でも』やないの。これ以上目立つの嫌やろ？
　魔法で乾かせるかも知れんけどそれで目立つのも嫌やない？」
鬱が優しく微笑みながら、優しい声でAを諭す様に訊ねる。
「･･･は、い･･･。」
Aは鬱に言われて否定出来ず、小さく返事をして頷いた。
「ん、ええ子やな。」
鬱はAの頭をタオル越しに撫でて、Aの鞄を落とさない様に持ち直す。
「このまま行くん？目立たへん？」
「認識、阻害魔法･･･かけます、か･･･？」
「否、ええよ。タオルで顔見られへんと思うし。ロボロ手ぇ引いてあげればええよ。」
「だ、大先生やないん！？」
「女慣れしぃや。」
「やかましいっ。･･･い、行こかっ。」
鬱にからかわれながらも、ロボロはAと手を繋いで、優しく手を引いて大講義室を出た。

「･･･やったん君らよねぇ？」
　ロボロとAが出て行ってから、鬱はAの鞄を持ったまま後ろに顔を向ける。
鬱が顔を向けた方には、先程までAを見てクスクス笑っていた女性生徒数名がいた。
　「う、鬱くん達に迷惑掛けてるみたいだから･･･！」
　「そ、そうそう！」
鬱から少し圧をかけられているからか、少し動揺しながら弁明する。
「俺等、一言でもそんな事言うた覚えないんやけどなぁ。
　まぁ俺等べったりしとったら嫉妬もするよね、分かる分かる。」
ヘラッと笑う鬱に、怒られないと思った女性生徒数名は顔を明るくする。

「＿やからって、俺等の"大切な仲間"に手ェ出す子は嫌いやなぁ。」
　「「「ッ！？」」」
笑いながら言う鬱に、女性生徒は顔を一気に青ざめる。
笑っている鬱は、目に光が宿っていなかった。
「反省しぃや？」
最後まで優しい声で言った鬱は、大講義室を出て行った。
教室には、静寂と冷たい空気が残っていた。