【wrwrd】無表情な彼女の戦闘物語3【あかがみん】【日常組】【pkt】【^ら^】 (ページ33)

今日:13 hit、昨日:0 hit、合計:71,154 hit

第128話ページ33

「・・・。」
「(おっ･･･)」
Aが無言のまま歩き出し、ぴくとはそれを見守る。

「･･･ゾム、さん･･･。」
「！A～･･･！」
「何で泣いてんのゾム･･･。」
目の前でしゃがんだAを見て、瞳が揺れているゾム。
らっだぁはそんなゾムを見て、若干ひきながら困った顔をしている。
「･･･行き、ませんよ･･･何処にも･･･。
　皆さんに、沢山･･･恩返し、しないと･･･迷惑、かけてるので･･･。」
「ｽﾞﾋﾞｯ迷惑思うてへんって･･･！」
「･･･そう、でしたね･･･。」
「「！！」」
そっと両手で優しくゾムの頬を包んだAは、ぎこちないが微笑んでいた。
「･･･らっだぁ見ちゃ駄目！！」
　がばっ
「！？」
ゾムが自力で渦から脱出し、Aに抱きついてAの顔を隠す。
Aは突然の事に驚き、ゾムの頬に触れていた手は何も出来なくなる。
「･･･過保護すぎない？ちょっと。」
らっだぁが呆れ気味に、ゾムが抜け出した渦を消しながらゾムに言う。
「過保護ちゃう！Aは俺等の大事な仲間やねん！！」
ゾムは駄々っ子の様に、Aを抱きしめたままらっだぁにそう言う。
「分かった分かった。勧誘しないから。」
「ホンマ？」
「ホントホント。」
適当に返事をするらっだぁに、まだ信用出来ないとゾムはAを抱きしめたままでいる。

「(･･･"なかま"･･･)」
　Aはゾムの腕の中で、ゾムが言った言葉を心の中で繰り返した。
「(･･･1週間で、大分当初の予定からズレちゃったなぁ･･･)」
Aはそう考えて、目を閉じる。
「(･･･温かい･･･)」
　すりっ
「！」
　Aは春の陽気とゾムの体温の心地よさから、ゾムにすりつく。
「(眠くなってきた･･･)」

「･･･かっっわ･･･」
「ゾム、変態の顔ソレ。」
「ウルサイ。」
恍惚とした表情でAを見るゾムに、らっだぁが呆れ気味に言ったがゾムはAを離す気はないらしい。
「ゾムさーん？此処グラウンドなんで、もう少し場所移しません？」
3人の元に来たぴくとが、笑顔でゾムに提案する。
「！忘れてたっこのまま昼寝や昼寝！！」
「早ぇなオイ！！」
「待ってぇ～。」
Aを抱き上げて走り出したゾムに驚きながらも、らっだぁとぴくとはゾムの後を追った。

「って･･･Aちゃん寝てる･･･。」
　木陰に着いた頃には、抱き上げられているAは小さな寝息を立てて眠っていた。
それに満足そうに笑って、ゾムはAを抱きしめながら寝てしまった。
後の二人もゾムの隣に寝転がって、4人で寝てしまった。